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「スポーツファイナンス」とは何か? スポーツに関わるお金のハナシ

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須賀 優樹
「ゼロからのスポーツビジネス入門」の運営代表として、「世界イチわかりやすいスポーツビジネス・マネジメント」を情報発信。産業能率大学にてスポーツマネジメントを教えています。スポーツ業界就職や起業相談、スポーツ組織向けコンサルティングも好評。

今回は「スポーツファイナンス」という、スポーツにおける組織の「お金の集め方や使い方」について研究をする分野について解説したいと思います。

同じスポーツビジネスの分野である、「マーケティング(スポーツマーケティング)」については、興味のある人や関心のある人が多いと思いますが、「ファイナンス?なんだそれ?」という感じの人が多いと思います。

でも、「スポーツファイナンス」という分野は、スポーツビジネスをする人にとっては、「スポーツマーケティング」と同じくらいか、それ以上に大切な分野なのです。

そもそも、スポーツ産業やスポーツ業界に関わらず、日本の企業は全体としてファイナンスが苦手と言われています。

「スポーツ球団で働いている」ようなビジネスパーソンでも「ファイナンス」をきちんと理解している人は少ないです。

「ファイナンス」という分野は企業経営をする上でとても大切な分野になるので、しっかり学んで頂ければと思います!


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スポーツファイナンス (Sport Finance)って?

まず、「ファイナンス(Finance)」という言葉は、日本語では「財政」や「財務」という意味で使われます。

ファイナンシャル・プランナー(FP)」という資格がありますが、その資格を持っている人は「結婚したら保険に入った方がいいのか」とか、「住宅ローンはどうやって組んだらいいのか」といった、「個人のお金の使い方に関して」相談に乗ってくれる人です。(お金の「稼ぎ方」をアドバイスして欲しい人もいると思いますが、FPは「稼ぎ方」は教えてくれません。)

スポーツファイナンス」では、球団やクラブ、リーグ、協会、連盟といった「スポーツに関わる組織」の「お金の稼ぎ方や使い方」を様々な角度から検証していきます。

なぜこの「スポーツファイナンス」という分野を学ぶ必要があるのでしょうか?

その大きな理由は、

スポーツの「プロ化」と「ビジネス化」が急速に進んできているからです。

これまで、日本のスポーツは「企業スポーツ」、つまり「実業団」と呼ばれるような、ある会社の中で活動するチームがトップレベルの競技力を持っていました。

今でも実業団がトップレベルを誇っているスポーツはたくさんあります。

例えば、新年になると毎年行われる「ニューイヤー駅伝」に出場するチームは、「トヨタ自動車」や「富士通」といった、日本を代表するような大企業が自社の「部活動」のような形で持っているチームです。

こうした「実業団」と呼ばれるチームは、このチーム自体でスポーツビジネスをして何かを売ったり、経営をしたりしている訳ではありません。

つまりこの「実業団」というチーム自体には収入が入ってこないのです。

あくまで、「部活動」ですので、みなさんの学校での部活動と同じで、基本的にはスポーツをすることによって「お金がかかる」のです。

しかし、「プロスポーツ」というのは、そのチーム・クラブ自体でビジネスを行って、収入を得なければなりません

プロ野球やJリーグの一部のクラブを除けば、こうした「プロスポーツ」の球団は、どこかの会社が運営費をたくさん出してくれる訳ではなく、「稼ぐお金」も「使うお金」も全て自分達で決めないといけないのです。

さらに、近年では公共スポーツ施設の運営を自治体が直接行うのではなく、ある会社に任せて運営してもらおうという動きが広がってきています。

会社が運営する訳ですから、お金を稼ぐことができなければ倒産してしまいます。

したがって、「スポーツ」で「どうやって稼ぐか」、またその稼いだお金を「どうやって使うか」といったことが「お金の運用」がとても大切になってきているのです。

実際にどんなことを学ぶの?

少し難しい話になるので、ここでは理解できなくても大丈夫ですが、この「スポーツファイナンス」という分野で、どのような勉強をするか、というのを少しご紹介したいと思います。

スポーツファイナンスで扱う領域

 法人格 (ほうじんかく) に関すること
 「株式会社」とか「NPO法人」ってなんだろう、何が違うのだろう、など

「財務書表」(ざいむしょひょう) に関すること
ある会社のお金の状態を表した「成績簿」みたいなものを作ったり、読んだりすること

スポーツ組織はどうやってお金を稼ぐのか
お金を稼ぐ方法が色々とある中で、なにをするかしないか、など

 スポーツ組織はどうやってお金を借りる・調達するか
銀行から借りる、投資家から出資してもらう、クラウドファンディングなど

得たお金をどうやって使えばいいのか
設備に投資する? 人材に投資する? など

など、まだまだたくさんあるのですが、だいたいこのような感じです。

特に法人格に関すること財務諸表に関することなどはぜひ勉強してみてください。

これは、「スポーツビジネス」だけではなく、どんなビジネスを行う際にも必ず関わってくることです。

財務諸表」というものが読めるようになると、スポーツ産業を調べるときや、スポーツ関連の企業に就職したいときにも非常に役に立ちます。

財務諸表」は企業の「成績簿」ですので、その企業の業績が上がっているのか下がっているのか他の企業に比べると良い業績かどうなのか、といったこと「数字」として全部書いてあります。

ちなみに、「財務諸表」というものは、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」「キャッシュフロー計算書」という3つの資料を合わせたものです。

プロスポーツ関連で言えば、Jリーグのクラブは、この「財務諸表」を公開することにしていますので、Jリーグの公式サイトを見て頂ければ、各クラブの「お金の成績」を見ることができます。

参考:Jリーグ クラブ個別経営情報

しかし、厳密に言えば、「貸借対照表」と「損益計算書」というものは、経営者の意思である程度の「数字」を「変えてしまう」ことができるので、これだけを見てクラブの経営をすべて評価するのは危険です。

キャッシュフロー計算書」というものを見れば、「何に対してどのくらいのお金を使っているのか」という「現金の流れ」を見ることができるため、本当は「キャッシュフロー計算書」もきちんと見たほうがいいのですが、残念ながらJリーグはそこまでは公開していません。

※「プロ野球(NPB)」は「貸借対照表」や「損益計算書」すら公開していません。あくまで、核チームは「親会社の中での1つの事業」という位置づけなのでしょう。非常に「透明性」の低いスポーツリーグであると以前から指摘されています。

例えば、あなたが「スポーツ用品関連の企業に就職したい」と思った時、会社説明会に参加したり採用ホームページを見たりすると思います。

しかし、それだけでは「その会社の業績がいいのか悪いのか」といったことは分かりません。

そんなときは、その会社の「財務諸表」見て下さい。

※全ての会社が「財務諸表」を公開している訳ではありませんのでご注意ください。基本的には「株式市場」に「上場」している企業であれば財務諸表を公開する義務がありますので、「ミズノ」や「アルペン」といった「上場企業」であれば「財務諸表」を見ることができます。

この会社は成長しているのか?」「ライバル会社に比べて利益を上げているのか?どんなビジネスで稼いでいるのか?「業界の中でどのような地位なのか」「将来性はあるのか?」「この会社に入ったら給料は上がりそうか?」といったことが全て分かります。

会社説明会」というのは基本的には「その会社にとって都合の良いこと」しか説明しませんし、「人事担当者」でもきちんと自分の会社を「ファイナンス視点」で見ている人はほとんどいません。

ですから、もし少しでも「ファイナンス」を勉強して知識をつければ、他の人に大きな差をつけることができるのです。

「スポーツファイナンス」をどうやって学んだらいい?

この記事の最初でも述べたように、この「スポーツファイナンス」という分野を日本で教えている学校はまだまだ少ないです。

もしあなたが入りたい大学や、あなたが所属している学科にこうした「スポーツファイナンス」関連の授業がなければ、「スポーツ経済学を学びたいなら、まずは普通の経済学を学んだほうがいい」と同じように、まずは一般的な「ファイナンス」というものを学んでみてください。

初心者の方はこういう本がおススメです。

一般的な「ファイナンス」の授業は、経済や経営関連の学部のある大学であれば、必ずといっていいほどあるはずです。

ファイナンス」といっても「国の財政」とか「ファイナンシャル・プランナー」の資格ための講座ではなく、できれば企業ファイナンス」のような授業を選んでください

スポーツ球団やクラブも結局は「企業」だからです。

ただし、内容はスポーツに関することではなくなってしまうので少し退屈に感じてしまうかもしれませんが、「法人格」や「財務諸表」といったものはどの企業でも同じです。

また、本気で「スポーツファイナンス」を学びたいのであれば、いっそのこと「外国でスポーツマネジメントを学ぶ」という手段もあります。

スポーツビジネス大国のアメリカや、近代スポーツ発祥の国であるイギリスでは、「スポーツMBA」という、「スポーツビジネスのための経営学を学ぶ」という分野があります。

※「MBA」というのは「Master of Business Administration」の略で、日本語では「経営学修士」という意味になります。「修士」ですので「大学院」という位置づけになります。つまり「大卒」でなければ基本的に受講できません。「学部」という位置づけで「スポーツMBA」に似たコースを開講している学校もあるのでご興味のある方は調べてみてください。

日本ではこの「スポーツMBA」という分野を学ぶことは難しいですが、アメリカやイギリスの「スポーツMBA」のカリキュラムの中には、ほとんどの場合に「スポーツファイナンス」が組み込まれています。

最近では、現地に通わなくても「オンライン」で「スポーツMBA」の講座を受講できる外国の学校も増えてきているので、そういった方法も検討してみるとよいと思います。(もちろん授業はすべて「英語」になるので、「英語」のスキルは必須です)

参考:Online Masters in Business Administration in Sports Management 2020

このサイトでも「スポーツファイナンス」について理解できるように、今後もできるだけ分かりやすくご紹介していきたいと思っています!

まとめ ~スポーツビジネスで成功したいならファイナンスは必須~

今回は、\ 「スポーツファイナンス」ってなに? スポーツに関わるお金のやりくり/というテーマで、スポーツビジネスで大切になる「お金」を扱う分野についてご紹介してきました。

今回の内容をまとめると、

  • 「スポーツファイナンス」とは、スポーツ組織の「お金のやりくり」について学ぶことである。
  • スポーツビジネスの発展と、競技の「プロ化」によって、スポーツ組織がちゃんとお金のやりくりをやらないといけなくなってきた。
  • 「法人格」「財務諸表」といったものを理解することは、スポーツビジネスだけでなく、どんなビジネスにも絶対に必要。スポーツ業界への就職にも有利になる。

ということをお伝えしてきました。

私は、これまで「スポーツ業界に就職したいです!」という学生さんや、スポーツメーカーやスポーツクラブ、スポーツメディアといった「スポーツ業界」で実際にお仕事をする数多くの方と出会ってきました。

その中でも「スポーツマーケティングに興味があります」とか「営業やマーケティングに関わっています」という人は多くても、「スポーツファイナンス」や「スポーツ経済学」に興味があります、という人と出会ったことはほとんどありません。

経済学」や「ファイナンス」を学んで、それをビジネスに活かすことはめちゃくちゃ大切です。(普段、「めちゃくちゃ」といった言葉はあまり使いませんが、あえて書きます)

それでも、多くの方が関心を持てないのは、本当にもったいないと思います。

GoogleAmazonといった企業がどんどん成長しているのはビジネスに対して「経済学」の理論や「ファイナンス」をきちんと活用しているからです。

マンチェスター・ユナイテッドの経営陣は、「公認会計士」や「法律家」、「企業買収」の専門家など、「ビジネスのプロ集団」を擁しています。

このブログを読んでくれた方が、一人でも多く「スポーツビジネス」に対して「経済学」や「ファイナンス」を活用してくれたらとても嬉しいです。


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