スポーツマネジメントの3つの特徴が分かる!

スポーツマネジメントについては、扱う対象や、企業経営として見た場合に色々な考え方がありますが、

今回は、「スポーツ産業が持つ特質」というものを考慮した「スポーツマネジメント」の特徴として3つのポイントをご紹介したいと思います。

その3つとは、

● スポーツの結果とビジネスがリンクしない
● 「試合」が商品
●  「ビジョン」のバランス

です。

これだけを見てもよく分からないと思いますので、これから順番に解説していきます。

なお、ここでいう「スポーツマネジメント」とは、あくまで「スポーツそのものを使ってビジネスを行う組織のマネジメント」という意味になります。

したがって、「どのように科学的なトレーニングをするか」とか「競技中の心理状態をどうやってコントロールするか」といった「競技のマネジメント」や、スポーツに関連した何かを商売とするような、スポーツ用品やスポーツ施設といったもののマネジメントではないので間違いのないようにしてもらえたらと思います。

スポーツの結果とビジネスがリンクしない

まず、「スポーツの結果とビジネスがリンクしない」というのはどういうことでしょうか。

この「結果」というのは、スポーツを行って得られる結果、つまり「試合の勝敗」ということになります。

他チームや他選手との「競争」があるスポーツにおいては、「勝利を目指す」ということは当然の行動になりますが、「勝てるチーム」あるいは「勝てる選手」がそこに存在しているとしても、「ビジネス」としてそれが成果に結びつくとは限らない、ということです。

スポーツを「競技」として見た場合は、いかに「勝つか」ということをマネジメントしていくわけですが、「ビジネス」という視点から見た場合は、そのチームや選手が「勝つか負けるか」ということに関わらず、きちんと収益を上げていかなければなりません。

もちろんクラブやチーム、選手のファンや、お客さんといった人たちは応援しているチームが「勝つ」ことによって、大きな喜びを得ますし、それが「みるスポーツ」の醍醐味であることは間違いありません。

しかし、逆に言えばファンにとってチームが「勝たなければ何も得るものがない」というのはビジネスの視点からは大きな損失になってしまいます。

したがって、「ビジネス」の視点から考える「みるスポーツ」のマネジメントは、チームや選手が活躍し「勝利する」ことが一番の顧客満足になるものの、「勝利をサービスの中心としない」ということが求められるのです。

こうした、「試合以外の要素でいかにお客さんを満足させることができるか」ということは「顧客満足(CS:Customer Satisfaction」という分野であったり、最近では「顧客体験価値:カスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)」などと言われる分野を活用していくことが必要になります。

スポーツビジネスにおいては、強いチーム、強い選手が常に「一番稼げる」のかというとそうではありません。

プロ野球などでは、よく「現場とフロント」というような言い方をすることがありますが、「現場」は「競技のマネジメント」、「フロント」は「ビジネスのマネジメント」というように考えると、

「現場」にとっての「マネジメント」の目標は「勝利」をすることであり、「フロント」にとっての「マネジメント」の目標は「収益化」です。

したがって、ビジネスのマネジメントは、チームや選手が勝っても負けても、お客さんが楽しんで時間を過ごせるようにする「時間消費型」のマーケティング活動をしていくことが必要になりますし、「チームの勝ち負け以外にファンに提供できる価値は何なのか」ということを考えていく必要があるのです。

「試合」が商品

次の、「試合」が商品、というのはどういうことでしょうか。

「みるスポーツ」のマネジメントにおいては、「スポーツそのものがマネジメントの対象」になります。

「スポーツ」というものは本来は「気晴らし」や「遊び」といった性質をもっているように、対戦相手がいるかどうかということは関係がない活動なのですが、「競技」という意味になると、どうしても自分たちだけで試合をすることができず、「対戦相手」が必要になります。

したがって、「試合」が「商品」であるということは、「ひとりでは商品をつくることができない」というのが、スポーツビジネスの特殊な部分なのです。

普通の企業であれば、競合相手と一緒に商品をつくる、ということはまずありません。

競合会社と一緒に商品を作ってしまうと、お互いに本来取れるはずのお客さんや市場シェアを取ることができなかったり、場合によっては「独占禁止法」といった法律を違反する可能性もあります。

しかし、スポーツビジネスにおいては、「試合」が商品になるので、他チームや他選手とはライバル関係にあるものの、ビジネスという意味では「協力し合う」ことが必要になります。

スポーツの試合をいくつかのチームで行うとき、多くの場合は「リーグ」というものが全体をまとめて、運営していくことになります。

チーム個々の努力には限界がありますので、この「リーグ」がいかに全体をマネジメントして、1つ1つの商品の価値を上げていくか、ということが大切になってきます。

ここで詳しくは紹介しませんが、「リーグ」としてビジネス価値を上げていく取り組みで成果を出しているのが、プロ野球の「パシフィック・リーグ(パ・リーグ)」に加盟する6球団が2007年に出資して作った「パシフィックリーグ マーケティング株式会社」です。

「パシフィックリーグ マーケティング」では、以前はそれぞれの球団がバラバラに実施していたスポンサーシップやマーチャンダイジング、動画配信サービスなどを、リーグ全体でマネジメントする仕組みを作り、6球団すべてが収益化できるようになっています。

一方で、同じプロ野球である「セントラル・リーグ(セ・リーグ)」に関しては、なかなか球団同士が協力し合うことができず、個々の球団の努力に依存したビジネスモデルになっています。したがって、リーグ全体として見ると、ビジネス面でもチームの強さという面でも、パ・リーグに引き離されている状況にあります。

このように、スポーツ(試合)そのものが商品になるビジネスにおいては、1つの組織だけの努力でビジネス価値を高めていくことに限界があり、より高い価値を生み出すためには他クラブとの協力とリーグ全体としてのマネジメントが必要という点が、一般的なビジネスと大きく異なる特殊な点なのです。

「ビジョン」のバランス

最後は「ビジョンのバランス」という点です。

そもそも「ビジョン」というのはなんでしょうか?

企業活動や組織活動における「ビジョン」というのは、その組織が「何を実現したいのか」ということです。

つまり、「未来に向かってどうなりたいのか」というのが「ビジョン」です。

「スポーツビジョン」という言葉があるので間違えないで頂きたいのですが、「スポーツビジョン」という言葉は、「スポーツの活動中における目の動き」ということを指しています。「目」のトレーニングをして、状況判断をよくしたり、素早く動くものを正確に捉える、といったことを意味しているのが「スポーツビジョン」という言葉です。

ここで紹介する「ビジョン」というのは、企業の経営戦略などの分野で扱われる「ビジョン」のことです。したがって、どんな組織にも「ビジョン」は必要になる、ということです。

「未来に向かってどうなりたいのか」というのが「ビジョン」であると考えるときに、「未来」というのはいつの時点を意味するのか、というのが漠然としていると思います。

よって、「ビジョン」には10年以上先のことを目指すような「長期的なビジョン」と、1、2年後を目指すような「短期的なビジョン」というように、目指す未来がいつになるかによって、いくつかの「ビジョン」を持つ、ということが必要になります。

特に、トップレベルのスポーツになるほど「勝利」ということが求められます。

しかし、常に同じ選手ばかりを何年も使って試合をしていると、若い選手が育たずに、一気に弱くなってしまうということが、様々な競技で見られます。

これは、そのクラブやチームがどのような「ビジョン」を持って取り組んでいるのかということがよく表れる例です。

2、3年後にどういうチームにしたいか、さらに10年後にはどうなっていたいのか、ということを見据えてチームを作っていく必要があります。

これは、「ビジネス」の面から考えても同様です。

日本のスポーツ産業は、プロスポーツレベルであってもそれほど大きなお金を持っているわけではありません。
したがって、「とにかく早く儲かること」をやり続けていく必要があるのですが、そればかりをやっていては、将来に対する顧客づくりや、投資ということができず、大きな成長を遂げていくことが難しくなります。

スポーツビジネスにおいては、「こども」がファンになる、ということもよくある光景ですが、若年層をいかに早く「ファン化」させて長期的な収益に結び付けるか、といったことも考えていく必要があります。

このように、スポーツビジネスでは「早く結果を出しつつ、長期的に成長できる仕掛け」を作り出していくマネジメントが大切なのです。

まとめ

今回は、「スポーツそのものが商品となる組織においてのマネジメントの特徴」として、以下の3つのポイントをご紹介していきました

● スポーツの結果とビジネスがリンクしない
● 「試合」が商品
●  「ビジョン」のバランス

「スポーツ」というものは、毎回結果が変わりますので、その結果次第でファンが沢山ついたり離れたりしてしまうのは、マネジメントの視点からはあまりよくないのです。

また、スポーツは「試合」そのものが商品であるため、試合そのもののクオリティを上げるために、1つのチームの努力だけでは限界があり、リーグ全体として取り組む必要があります。

そして、クラブあるいはチームは、「ビジネス」と「競技」の両方の面から1年、2年で結果を出すための努力と、5年、10年といった長い期間で成果を出していくような努力の、バランスをとっていかなければならないのです。

こうした意味から、スポーツ組織のマネジメントは、一般の企業とは違った特殊な面をもっており、こうしたことをしっかりと理解してマネジメントをしていく必要があるのですね。

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ABOUTこの記事をかいた人

須賀 優樹

本ブログの管理人。「世界で一番優しくスポーツビジネスを学べる場をつくる!」を目標に、スポーツ業界に入りたい人、活躍したい人をこれまで多数支援。学生時代の専門は「スポーツマーケティング」。現在は大手企業のデジタルマーケティングやビッグデータ分析のコンサルティング、スポーツ団体の新規事業支援などをやっています。