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スポーツマネジメントを「大学で教える」ために大切なこと

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須賀 優樹
産業能率大学でスポーツマネジメントの教員をしています。「世界で一番優しくスポーツビジネスを学べる場をつくる!」を目標に、本サイトを立ち上げ、運営中!!

今回は、このブログの運営代表者である須賀優樹が、「スポーツマネジメントを学生に教える大学教員として、大学生に対してどんな授業や取り組みをやっているのか??」ということを書きたいと思います。

私は、2021年から「学校法人 産業能率大学」にてスポーツマネジメント分野の兼任教員をしています。

このブログを始めたのは2016年からになりますが、現在までの間にブログを通じて多くの高校生や大学生といった若い方の「スポーツビジネスに関する進路選択」ですとか、「スポーツマネジメントの勉強の方法」などのご相談に乗ってきました。

でも、自分がまさか「大学の教員」になって大学生にスポーツマネジメントを教えるということは想像していませんでした。

実際、「大学の先生」をやってみて色々と感じたことや挑戦してみたことがありますので、今回はそんなお話をしたいと思います!!

そもそも、なぜ大学の先生になったのか??

まず一番大事なことは、なぜ私が「大学の先生」をやっているのか? ということです。

きっかけとなったのはこの「ブログ」です。

私がスポーツビジネスやスポーツマネジメントといったテーマに関して色々なことを書いているこのブログを読んでくれた産業能率大学の先生から「須賀さんがブログに書かれている内容を、そのまま大学生に教えてほしい」というオファーを頂いたことが始まりでした。

産業能率大学という大学がスポーツ関連の活動に力を入れていたり、スポーツマネジメントを扱うコースや授業があることは以前から知っていましたが、私は産業能率大学のOBでもなければ、今まで全く関わったこともありませんでしたので、最初にご連絡を頂いたときにはかなりビックリしました。

「大学の先生」というお仕事自体には以前から少し興味がありましたが、「すごい実績がある訳でもないので、採用試験を受けてもどうせ受からないだろう」という感じで自分の中のキャリアの選択肢としてはほぼゼロでした。

ただ、大学側から「やってほしい」とオファーを受けた場合は、基本的には「採用試験はパス」になるわけですから(学部長さんとの「面談」などはありましたが)、「せっかくのチャンスだから、人生の中で一度、大学の先生という仕事に挑戦してみるのも良いかもしれない」と思ってオファーを受けることにしました。

このブログを通じてスポーツビジネスやスポーツマネジメントといったことを学びたい方や知りたい方に対して色々と役に立つことができるのもとても嬉しいことですが、実際に「大学の先生」となって大学生に色々なことを直接伝えることができたり、コミュニケーションを取ったりできることもとても楽しそうだなと思いましたし、自分から「大学の先生という仕事をしよう」と思っても、簡単にそうした職には就けませんので(特に私のような30歳そこらの人間が!)、すごく大きなチャンスだと思って飛び込んでみました。

実際、2021年度にどんな授業をどのように実施したのかを以下に書いてみたいと思います。

2021年度に実施した授業の内容

大学生の先生としてデビューした1年目の2021年は、産業能率大学にて以下の2科目を担当しました。

● スポーツマネジメント入門

● スポーツマーケティング

スポーツマネジメント入門」については主に「2年生向け」の授業となっており、2年生以降で様々なスポーツ関連の授業やゼミといった取り組みをしていく学生たちに対して、まずは「スポーツマネジメントの超基本」を知ってもらうための授業になっています。

スポーツマーケティング」については「3年生以上」が履修できる授業になっていて、スポーツをテーマにしながらマーケティングについて理解を深めていく授業になっています。

特に「スポーツマーケティング」のほうは大学側から「授業の構成や内容などはすべてお任せします」とリクエストを頂いたので、前年までに産業能率大学で開講されていた「スポーツマーケティング」の授業とは、全く違う内容のものを扱いました。

「スポーツマネジメント入門」について

「スポーツマネジメント入門」という授業はその名の通り「入門」という名前が付いていますので、これからスポーツマネジメントを学び始める2年生向けの授業となっています。

ちなみに、産業能率大学では1年生時には「スポーツマネジメント」に関連する授業をほとんど履修することができず、「経営学の基礎」とか「ITリテラシーの基礎」のような、ビジネスに必要なかなり基礎的な知識やスキルの取得を重点的に教えているため、2年生になった学生たちは「やっとスポーツ関連の授業が受けられる!」という感じでワクワクしたテンションで授業を受けてくれます。

2021年度は、全14回を以下のように実施しました。

授業タイトル授業の概要
1ガイダンスとイントロダクション授業(内容・履修上の留意点等)についての説明を行う。
2日本のスポーツ振興政策日本のスポーツ振興やスポーツ政策の大まかな歴史と、スポーツが抱える課題や近年の動向について学ぶ
3スポーツ産業とスポーツ市場スポーツを「仕事」という視点から見た概念としての「スポーツ産業」と、スポーツによって生み出される価値の交換を行う「スポーツ市場」について学ぶ。
4スポーツに関するマネジメントの目的と役割スポーツに対して「マネジメント」が必要になってきている背景やマネジメントの目的、基本を学ぶ。
5スポーツマネジメントにおけるマーケティング活動スポーツマネジメントの活動の1つである「マーケティン
グ」について、発展の経緯や全体像、特徴を学ぶ。
6スポーツの「プロ化」におけるマネジメントスポーツの「プロ化(商業化)」が進んでいる背景や、それによって生み出されるメリットや問題点を学ぶ。
7スポーツイベントのマネジメントスポーツによって生み出される「イベント」の種類や、イベントをマネジメントする際に重要となる考え方、検討事項について学ぶ。       
8スポーツにおけるステークホルダーとの関係性スポーツにおける「利害関係者(ステークホルダー)」について理解し、スポーツに深く関わる「スポンサー」や「メディア」などとの関係性を学ぶ。
9スポーツ施設のマネジメントスポーツ活動において必要不可欠となる「スポーツ施設」について産業としての歴史や現状、課題と共にマネジメントを理解する。
10学校体育・スポーツのマネジメント【中川先生ご担当】学校体育・スポーツの目的およびマネジメントのミッションについて理解し、その課題とマネジメントについて学ぶ
11地域スポーツのマネジメント【中川先生ご担当】総合型地域スポーツクラブ推進までの経緯を理解し、スポーツによる地域イノベーションに対する可能性について学ぶ。
12子どもスポーツのマネジメント【中川先生ご担当】子どものスポーツの現状やスポーツ環境の課題について理解し、それらに対するマネジメントの現状や取組みについて学ぶ。 
13健康スポーツのマネジメント【中川先生ご担当】高齢者を中心とした健康増進に関する考え方や健康政策等の取組みについて理解し、そのマネジメント課題について学ぶ。
14障がい者スポーツのマネジメント【中川先生ご担当】高齢者を中心とした健康増進に関する考え方や健康政策等の取組みについて理解し、そのマネジメント課題について学ぶ。

なお、私が担当したのは「第2週 日本のスポーツ振興政策 ~ 第9週 スポーツ施設のマネジメント」の回でして、1週目のガイダンスと10週目以降については、産業能率大学 情報マネジメント学部 教授の中川直樹先生がご担当され、この「スポーツマネジメント入門」という授業については中川先生と須賀で「共催」という形で授業を実施しました。

この「スポーツマネジメント入門」という授業を、どのような構成と内容にするかはだいぶ悩みました。

他の大学で開催されている「スポーツマネジメント(基礎)」のような授業のシラバスなども色々と調べてみましたが、あまりしっくり来るものがなく、結局はオリジナリティをかなり詰め込んだものになりました。

産業能率大学が目指しているのは「スポーツに詳しい人材を輩出する」ということではなく、「スポーツを通じて社会の様々なことを学んでほしい」ということです。

例えば、「スポーツに詳しい人材を輩出する」という目的で「スポーツマネジメント」を教えるのであれば、「プロ野球やJリーグの制度」とか「オリンピックのビジネスやマーケティング」みたいな感じで、いかにも学生が喜びそうなネタを提供して、「スポーツ業界ってすごい楽しそう!!」という印象を与えるような授業をやってもよいのかもしれませんが、私個人的にもそうしたスタンスで「スポーツマネジメント」を語るのはあまり好まない立場のため、産業能率大学が目指す方向性というのは、私としてもとても共感できる方向性でした。

ですので、「スポーツマネジメント」というと、どうしても一発目にプロ野球やJリーグなどをネタにした「プロスポーツのマネジメント」といったことを入れたくなるのが一般的なのですが、今回はあえてそうした「プロ関連」のネタは優先度を下げて、学生にとってはあまり馴染みのなさそうな「スポーツ振興・スポーツ政策」といったものを1発目に持ってきました。

このブログでも、「スポーツ政策」に関することや「スポーツ庁」のことなどをちょくちょく書いていますが、スポーツマネジメントを理解し実践するためには、国全体がスポーツをどのように位置づけて、どのような方向性に持っていきたいのかを理解することがとても重要です。

なぜなら、それによって全国各地域の行政が「スポーツ」を具体的にどのように活用すれば地域社会の人々の役に立つのかを考え、行動するからです。スポーツという活動は基本的に「地域」を単位として行われる活動であり、普及促進のために「税金」を投入する対象になるため、「行政がスポーツをどうしたいのか?」を理解することはスポーツマネジメントにおいてもスポーツビジネスにおいても非常に大切なポイントになります。

というわけで、1つ1つの授業の中身を解説すると1つの記事で収まらないため、「スポーツマネジメント入門」についてはこのあたりにしておきますが、大切なことは「スポーツ業界のノウハウ」を教えることではなく、「スポーツを通じて世の中の理解を深めてもらうためにはどうすれば良いのか」を第一に考えた結果、こうした授業構成になった、ということです。

もっと具体的な内容を知りたい方がいらっしゃれば、「お問い合わせ」のほうからご連絡頂ければと思います!!

「スポーツマーケティング」について

「スポーツマーケティング」の授業については、大学側から「授業の構成や内容などはすべてお任せします」とリクエストを頂いたので、前年まで別の先生がご担当されていた内容から大幅にチェンジをしてみました。

「スポーツマーケティング」については「3年生以上」が履修の対象となっているため、前年までは湘南ベルマーレの試合会場などに出向いて、サポーターの人たちに「アンケート」を実施してそれを分析するというような、いわゆる「フィールドワーク」的な内容を授業として扱っていたようです。

しかし、「フィールドワーク」を実際に授業で扱うとなると、学生の側にある程度の「マーケティングリサーチ」の知識や「リサーチスキル」が備わっていることが前提になりますが、実際に「スポーツマーケティング」という授業を履修する学生たちはそこまでの知識やスキルを本当に持っているのだろうかという疑問を感じたため、2021年に私が担当した「スポーツマーケティング」については「講義形式で、スポーツを題材にしてマーケティングの基礎をしっかり学んでもらう」という方向性で授業を実施することにしました。
(コロナ禍のため、学外の不特定多数の人と接するフィールドワークのような授業は避けたいという意図もありましたが。)

全14回の講義については以下のように実施をしました。

授業タイトル概要
1ガイダンス授業内容のガイダンス
2スポーツの意味と定義スポーツに関するマーケティングを実施するために必要となる 、「スポーツ」の持つ意味や 「スポーツ」を通じて生み出される 活動について理解 する。
3マーケティングの目的と基本マーケティングという活動が、何のためになぜ行われるの
かという目的や、マーケティング実施における基本的な考
え方について学ぶ 。
4スポーツマーケティングが目指す姿「スポーツ」と「マーケティング」を理解した上で、「スポーツマーケティング」が目指すゴールについて学ぶ。
5スポーツマーケティングに関する様々な視点これまでのスポーツマーティングの歴史や研究を踏まえて、スポーツマーケティングに関する様々な考え方や視点を学ぶ。
6スポーツ市場と顧客スポーツマーケティングを実施する上での「市場(マーケット)」と「顧客」について学ぶ。
7スポーツで生まれる商品スポーツによって生み出されている様々な商品や、商品を生み出すときに必要とされる考え方について学ぶ。
8スポーツマーケティングにおけるプランニングスポーツにおけるマーケティング活動の全体的なプランニングやストーリー設計、仮説設定について学ぶ。
9スポーツマーケティングのリサーチスポーツマーケティングを実践する上で必要になるリサーチの基本的な考え方や設計について学ぶ。
10スポーツマーケティングのSTP分析マーケティングの基本的なプロセスである「セグメンテーション」「ターゲッティング」「ポジショニング」を、スポーツに対して活用する意味や方法を学ぶ。※(それぞれの頭文字をとって「STP」と呼ぶ)
11スポーツの価値と価格設定スポーツが持つ「価値」を改めて問い直し、スポーツによって生まれる商品に対しての価格設定の考え方を学ぶ。
12スポーツにおけるプロモーションスポーツ活動において顧客とコミュニケーションを取る目的や手段について、「プロモーション」という視点を軸に学ぶ。
13本授業のまとめこれまでの内容を振り返る。
14最終課題「スポーツを活用した新事業・商品」の企画書を制作する。

このような感じで、「マーケティングの基本プロセスに沿って、スポーツをそこに当てはめた場合にそこから何を読み解くことができるか?」という方向性で授業を実施しました。

「スポーツマーケティング」というと、どうしても「プロ野球のチケット販売方法」とか「プレミアムリーグの放送権ビジネス」のような、トップレベルのスポーツビジネスの中で実施されている1つ1つの「手段」のことを扱う場合が多いです。

そうした内容を授業で実施すると、学生にとっては面白いとは思うのですが、「へぇ~ プロのスポーツってすごいなぁ~ 自分も関わってみたいなぁ~」というような漠然とした華やかなイメージだけを与えることになってしまい、いざ自分でビジネスやマーケティングのことを考えたり、実践したりしようとすると、「何から手をつけたらいいのか分からない状態」になってしまう学生を量産してしまうことになると思っています。

ですので、学生たちにはガイダンスの時点で、あえて「今回の授業ではプロ野球やJリーグのようなプロスポーツの話や、プロスポーツの事例紹介のようなことはしない」と断言して、それでも授業を受けてみたいと感じてくれる人に対して授業を実施することにしました。

結果として、「スポーツマネジメントコース」に所属するほとんどの学生が履修してくれたので、一安心でした。

「スポーツマネジメント入門」の時と同様に、「スポーツマーケティング」についても他の大学ではどのような内容を教えているのだろうかということを、色々と調べてみました。

調べていくうちに、とても興味深い論文を見つけることができました。

岐阜経済大学論集51巻3号に掲載されている、「スポーツ・マーケティング教育における動向と課題」というテーマの論文です。

この論文の中に、「スポーツマーケティング」を授業として扱う大学は、実際にどのような内容を学生に教えているのかをシラバスを調べて分析した結果が掲載されており、学部によって差があるものの、「ケーススタディを扱う授業が約70%にのぼる」という結果が示されています。

つまり、「プロ野球ってこんなことをやってますよ」とか「広告代理店ってこんな感じでスポーツのビジネスに関わってますよ」といったような「スポーツ業界の事例紹介」が大半を占めているのが、現状の「スポーツマーケティング教育」なのではないか、という示唆を含んでいるわけです。

実際、論文の中には、

”スポーツ・マーケティング”を本来的なマーケティングを実現化するための手段として再認識し,経済・経営学的な視点によって「マーケティング志向」の概念が示される必要がある…

という主張が書かれていることから、これまでの「スポーツマーケティング」の教育というものは、本来の意味での「マーケティング」を学生に教えていない(のではないか)、という問題があるわけです。

これについてはより具体的な調査や分析が必要かもしれませんが、私が学生時代に計6年間もスポーツマネジメントというものを学び、これまで出会った様々な人たちのお話や様子などを伺って見ても、「おそらくそれが現状ではないか」ということを肌感覚として実感しています。

自分自身も学生時代は「プロスポーツビジネスの事例」などを学ぶことに注力をしすぎていて、結局マネジメントやマーケティングの本質を理解していなかった、という反省もあります。

ですので、私が直接教えることができる学生たちに対しては、同じ失敗を経験して欲しくないため、「マーケティングの原理原則を押さえた上で、スポーツを観察・分析する」という方向性で授業を実施しました。

結果としては、こうした方向性で授業を実施したことについては「正解」だったと感じました。

詳細については、2021年に実施した「スポーツマーケティング」の授業を題材にして「事例研究」としてまとめたものが産業能率大学の紀要論文集に掲載されましたので、ご興味がある方はぜひ以下のリンクからご覧いただければと思います。

産業能率大学 紀要 第42巻第2号 (2022年2月刊行)
事例研究

「スポーツマネジメント教育」が目指すべき方向性への一考
~本学『スポーツマーケティング』から考察する教育の方向性~

まとめ ~スポーツマネジメント教育はまだまだ発展途上~

今回は、いつもと少し趣向を変えて、このブログの運営者である須賀優樹自身が、大学の教員として「スポーツマネジメント」というものを大学生に教えることになった「きっかけ」や「実施した内容」についてを簡単ではありますが書いてみました。

学生の方や、これからスポーツビジネスやマネジメントを学びたい方にとってはあまり面白い話ではなかったかもしれませんが、スポーツマネジメントを「教育」として扱っている方や、お子さんがそうした分野を学んでいる(学ぼうとしている)親御さんなどにとっては、多少なりともお役に立つ内容になったのではないかと思います。

スポーツマネジメントを教える」ということは、世界的にもまだまだ始まったばかりのことであり、日本の教育の中でも「体系的な整理や枠組みの構築」がなされていない分野になりますので、私やこのブログを読んでくださっている方の力を合わせて、よりよい「スポーツマネジメント」を作り上げていくことができたらいいなと思っています!!


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須賀 優樹
須賀 優樹
産業能率大学でスポーツマネジメントの教員をしています。「世界で一番優しくスポーツビジネスを学べる場をつくる!」を目標に、本サイトを立ち上げ、運営中!!