スポーツが「商品」になった理由

今回は、なぜ「スポーツ」が売られたり買われたりするという「商品」になったのか、ということを考えたいと思います。

これは「スポーツマーケティング」を学んだり考えていくうえでは基本となる重要なことでもあります。

スポーツ産業の定義が難しい理由

スポーツというものは元々、人々が「Play(遊び)」するもの、として誕生しました。

したがって、「食品」や「洋服」、「家電製品」などとは違って、スポーツは最初から「商品」として誕生したものではありません。

他のモノ(商品/Product)は、「労働」の結果、生産されてくるのですが、スポーツだけはPlay(遊び)によって生産されるのです。

(もちろん、スポーツメーカーやスポーツ小売業といった業界に関わる人は商品を売るために「労働」をしているわけですが、本質的にスポーツそのものは対価を得るために行う「労働」ではない、ということです)

したがって、スポーツの商品化の第一は、「スポーツの価値」とは何なのか、ということを考えることにあります。

ビジネスの基本は「その商品がどのような価値を市場に提供するか」です。

商品を生産し、市場に提供(Supply)するものが、「モノ」でも「サービス」でも、ビジネスの基本は、市場に提供する価値です。もしスポーツに価値が無ければ商品化する意味が無い、ということです。

「スポーツビジネス」はスポーツを生産し販売するビジネスですが、そこで提供される「商品」としての「サービス」とは、大きく分けると「行なう(Play)」と「観る(Watch)」の2つに分けて考えることができます。

「行なう(Play)」と「観る(Watch)」のビジネスは、提供するサービス内容が全く違ってくるため、必要な知識やスキルも違いますし、求められる人材も違ってきます。

従って、スポーツビジネスを「スポーツ産業論」としてひとくくりにして語るのが難しい、ということになります。

「観る(Watch)」スポーツビジネスの発展

1970年代に入ると、TVメディアの世界化が進み、それがスポーツのグローバル化と商品化を促しました。

1980年代にはスポーツビジネスの近代産業化と、現在「スポーツマーケティング」と呼ばれているものの理論や手法の基盤が形成されたと考えられます。

こうしたテレビメディアの普及拡大は、大衆(マス)が好むソフトの巨大な需要を生み出しました。それは映画(ドラマ)や音楽、そしてスポーツに向かっていきました。

スポーツサービス

「大衆」というのは「消費者」のことです。「消費」とは、購入したものを「使ったら消す」つまり「捨てる」作業のことです。

「捨てる」ことにより、新たな購入が可能になります。際限無い「消費」意欲を刺激することによって、際限の無い「購入」が可能になるのです。マスの社会では、「物持ちがいい」ことよりも、常に新しいもの、斬新なものが重要とされます。

スポーツは、テレビの番組ソフトとして「消費」されるようになっていきました。

スポーツの利点は、年齢、性別、さらには民族、言語を問わず共通の理解がしやすく、「ルール」という存在があるため、まさにマス(大衆)向きであることがあげられます。

制作サイドからすると、映画などと違ってスポーツの試合をゼロからテレビ局が制作する必要がありません。

全ての試合がオリジナルであり、そのオリジナリティーはテレビ制作サイドが責任を持つ必要がないのですから、次々と日々行われていく試合が大衆に「消費」されていく、ということになります。

しかも「スポーツ」という商品は、消費されればされるほど同じものに「ハマっていく」という、ある意味「中毒性」を持っています。

好きなチームの応援などは、誰しも必ず「1回目」というものが存在します。

その「1回目」を乗り越えて、2回、3回、4回と応援しているうちにどんどんその競技やチームを好きになり、ひいては「好きなチームを応援することが人生の一部」という状態にまでなります。

これは、冷静に考えてみると非常に恐ろしいことでもあります。
アルコール中毒やゲーム中毒のように医療機関にかかるような「依存症」というレベルにまではなりにくい反面、他人にスポーツの面白さを強要したり、他のチームのファンを非難したりするということもスポーツという「商品」が持つ難しさといえるでしょう。

いくら好きなビールがあるからといって、そのビールは飲む人にとって「神」にはなりませんが、スポーツに関しては応援しているファンにとってのチームやスター選手などは「神」に近い存在として讃えられることもあります。

したがって、「スポーツを商品にする」ということは、その商品が安全か清潔かといった物理的な責任以上に、顧客の人生そのものを大きく左右する可能性があるという責任も非常に大きい、ということを考慮しなければなりません。

まとめ

■スポーツというものは元々、人々が「Play(遊び)」するもの、として誕生したため、「商品」ではなかった。

■1970年代以降のメディアの発達によって、スポーツを「観る(Watch)」ということが一般化し、次々と生産されるスポーツの試合が「消費」されることによってスポーツビジネスが発展していった。

今回は以下の書籍を参考に記事を書きました。
スポーツマーケティングに興味のある方にオススメです!

本サイト管理人の本業
アナリティクス・コンサルティング

本ブログ管理人のゆうきが代表として経営している合同会社エスシードでは、デジタルトランスフォーメーションやデータドリブン経営を支援するための、データ活用コンサルティングを行っています。デジタル技術やデータを活用した企業経営を目指している方はお気軽にご連絡ください!