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このブログを読んでくれている方の中には、「スポーツビジネスやスポーツマネジメントを海外で専門的に学んでみたい!」という方も少なくないと思います。
今回は「外国でスポーツマネジメントを専門的に学ぶ方法」の1つとして、「フットボールMBA」というものをご紹介したいと思います。
みなさんは、「MBA(エムビーエー)」というものをご存じでしょうか?
「MBA」というのは、「Master of Business Administration」のことで、日本語で言うと「経営学修士」という意味になります。
「修士」というのは、「修士課程」のことで、一般的には「大学院」に2年間ほど通って取得する学位になります。
今回は、そんな「MBA」の中でも、サッカー産業に特化したビジネスマネジメントを学べる、「フットボールMBA」というものに焦点を当てていきます。
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そもそも「MBA」って何ですか?? 何のために学ぶの?
まずは、簡単に「MBA」というものをご説明したいと思います。
先ほども書いたように、「MBA」というのは「経営学修士」のことです。
つまり、「企業の経営やビジネス」に関することを、大学院に通って専門的に学ぶ、ということです。
内容としては、後ほど「フットボールMBA」のご紹介をする際にも触れますが、
✔ 経営戦略 (企業として何をやるのか、やらないのかなどを決める)
✔ マーケティング(「売れる仕組み」をつくる)
✔ ファイナンス (効率的で効果的なお金の集め方や使い方)
✔ 人材マネジメント(どのような社員を集めるか、誰に何をやってもらうか、など)
✔ オペレーション(プロジェクトをどのように進めるかなど)
✔ 経済学・統計学( ヒト・モノ・カネの動きなどを分析する)
「MBA」で学べる分野の一例
といったようなことを学んでいきます。
そもそも、なぜこんなことを勉強する必要があるのでしょうか?
それは、「ビジネス」というものは、
「誰に対して、どんな価値を、どのように届けて、どうやって儲けるのか?」
ということを必死になって考えて、実行しないと上手くいかないからです。
これらを考える上で特に大切になるのが、「経営戦略」と「マーケティング」という分野です。
まず、「自分たちが何をしたいのか、何をしないのか」ということが決まらなければ、ビジネスをスタートすることができません。
つまり、「ゴールのないマラソン」というものが存在しないように、「ゴールのないビジネス」というものも存在しません。(実際にはそうしたビジネスが山ほどありますが・・・)
こうした「目的や目標をどうやって決めるか、そこに向かってどうやって進むか」ということを考えるのが「経営戦略」という分野になります。
次に、「自分たちのやりたいこと」が決まったとしても、「ビジネス」である以上、そこに「お客さん」が存在しないことには、お金を稼ぐことができません。
極端な例ですが、どんなに素晴らしいスポーツイベントを企画したとしても、開催する場所が「誰も住んでいない町の中」とか、「誰も行くことのできない宇宙空間」では、イベントに来てくれる人がいません。
ですから、「自分たちの商品やサービスを買ってくれそうな人は誰なのか? その人たちはどこにいるのか?」といったことを考えるために「マーケティング」という分野を学ぶのです。
「スポーツビジネス」も「ビジネス」である以上は、きちんと戦略を立てて、お客さんのことをよく理解して、欲しい人に価値を届けて、稼げる仕組みを作る、という流れは、他のビジネスと変わりはありません。
ですので、「より高いレベルの経営学を学んで、ビジネスに活かしていきたい!」という人のために「MBA」というものが存在しているのです。
ちなみに、スポーツ業界においては、横浜DeNAベイスターズのオーナーで、株式会社ディー・エヌ・エー創業者である南場 智子氏が、アメリカのハーバード大学経営大学院でMBA、東北楽天ゴールデンイーグルス会長兼球団オーナー、Jリーグ・ヴィッセル神戸会長でもある楽天株式会社の創業者、三木谷 浩史氏も同様にハーバード大学経営大学院でMBAを取得しています。
「フットボール(サッカー)MBA」とは? サッカービジネスのスペシャリストを育成
さて、いよいよ今回のメインとなる「フットボールMBA」についてご紹介したいと思います。
「フットボールMBA」とは、イギリスにある大学のプログラムで、世界で唯一のフットボール(サッカー)業界に関するMBAです。
リバプール大学のフットボール(サッカー)産業MBA (Football Industries MBA:FIMBA) プログラムは完全なオリジナルコースになっています。
このFIMBAプログラムは主にスポーツの中におけるビジネスの位置付け、フットボールクラブ、運営組織、それに関連するマーケティング、メディア、スポンサー企業など、グローバルなフットボール業界で働きたいと考えている方におススメのプログラムです。
留学方法は?
リバプール大学に留学するにあたって、いくつかの条件がありますので、以下にご紹介したいと思います。
〈入学条件と入学準備〉
- リバプール大学のFIMBAコースに入学するためには、書類選考に合格する必要があります。
- FIMBA(フットボール産業MBA:Football Industries MBA)を受けるには、最低でも社会人(就業)経験が3年程必要(5年以上の専門的な経験があることが推奨)とされています。
- 大学を卒業していること。
- IELTS: Overall6.5 各セクション6.0以上
※IELTS=イギリスの大学入学に必要な英語の共通テストのこと。
〈必要書類〉
- 英文の大学の卒業証明書および成績証明書
- 英語証明書(IELTS: Overall6.5 各セクション6.0以上)
- 推薦状 (勤務先と出身大学の両方からの英語の推薦状が必要)(日本語は不可)。
※推薦状には、発行元(勤務先と出身大学)の連絡先(メールアドレスとTEL)の記載が必要。そして、なぜあなたがFIMBAにふさわしいのかをできるだけ詳しく記載する必要もあります。
- パスポートのコピー
※有効期限が切れていないパスポートのコピー。
- CV(履歴書)
※英文で1〜2ページ以内。
- GMAT/GREの結果(任意)
※必須ではないのでなくても問題はありません。
※GMAT(R)(Graduate Management Admission Test)は、MBAなどへの入学希望者を対象に行われる入学適性テスト。
※GRE(R)(Graduate Record Examination)TESTは大学卒の英語の適性や学力を測るテスト。
〈在学期間の選択〉
● フルタイム:12ヶ月
● パートタイム:24ヶ月
※フルタイムというのは、一般にいう学生のことです。一日中勉強ができる人達です。
※パートタイムというのは、仕事をしながら大学に通いたい人達のことです。フルタイムで勉強できる学生よりも1日の大学での勉強時間が限られてしまいます。そのため、フルタイムよりもパートタイムのほうが期間が長くなっています。
〈学費〉
国際留学生: £24,950
カリキュラムの内容や特徴
時期によって違いがありますが、平均的にはだいたい週に3日または4日、授業があります。
授業は午前中が朝9時から12時半、午後が1時半から5時です。(2018年度)
授業の他に、グループワークを行ったり、アサインメントなどもします。
そして、毎週金曜日にゲストスピーカーセッションという時間があり、フットボール産業の第一線で働く方々を大学に招き様々な話を聞く時間があります。
これまでに、プレミアリーグクラブCEOや部門責任者、マーケティング会社や代理人、協会の方などその業界の第一線で活躍されている様々な方々が訪れて話をします。
また、学生はイギリス北西部に位置するEnglish Clubを理論を実践するための研究所として利用することもできます。
講義の内容を簡単に紹介
《Becoming a Football Executive》
サッカークラブで働くことについてなどを実践的なワークショップを踏まえ、コミュニケーションを取りながながら学ぶ授業です。
《Football Economics and Analytics》
統計的なデータを元にして、サッカー産業を分析する授業になります。選手の年俸とチームの順位の相関性、またリーグの均衡性を他の国のリーグと比較しながら分析を行っていきます。
《International Football Industry》
世界の色々なサッカー協会やリーグを分析し、サッカー産業の問題点などをみていく授業です。
《Leadership, Management and Organisation》
「勝てる組織を作るには?」「スタッフのモチベーション向上の方法は?」など、リーダーシップ論について学べる授業です。
《Marketing and Supply Chain Management》
マーケティングやサプライチェーン(どのようにして、適切な商品やサービスを適切なタイミングで提供するか)に関する授業です。
《Managing Financial Resources》
財務分析についての授業です。各企業の財務諸表を読み込んでいきます。
《Strategy and Organisation》
各企業がどのような戦略、ビジネスプランを立てているかなどを学ぶ授業になります。
《Football and Finance》
サッカー産業をファイナンスの観点から紐解いて理解していく授業です。
《Innovation and Entrepreneurship》
起業する際に、どのような事に焦点を置くべきかなどを学ぶ授業になります。
《Sport and the Law》
スポーツに関連する法律の授業です。
《Sports Operations Management》
オリンピックやFIFAワールドカップ、UEFAチャンピオンズリーグなどの国際大会、そしてリーグ戦でのスタジアムのオペレーションについて学ぶ授業です。
《Dissertation》
過去に行われた研究や資料、論文などを読んで、自分自身で論文を執筆します。いわゆる、修士論文。
《Work Based Project》
自分自身でスポーツクラブや企業、機関などに連絡をとったり、自分で実施したアンケートやインタビューなど、そこで得たデータを基にして論文を執筆します。
※卒業研究のテーマとして、「Dissertation」か「Work Based Project」のどちらかを選択。
海外で学ぶメリット 英語力や価値観が広まる
日本国内でも英語や経営学を学べる環境はたくさんありますが、現地(海外)で学ぶことでしか得られない事もたくさんあります。
以下では海外で学ぶ4つのメリットについて解説していきます。
〈日本で学ぶよりも英語力が伸びる〉
海外に留学する最も大きなメリットは、日本で学ぶよりも英語力が伸びやすいことです。
英語漬けの環境に身を置くことで、常に自然と英語が入ってくるためです。
さらに、海外留学により「アクティブラーニング」ができます。
アクティブラーニングとは自らの体験を通して英語を学ぶという学習方法です。アクティブラーニングにより学習を効果的に進めることができます。
例えば「講義を受ける」だけでは、平均学習定着率は5%と言われています。
しかし、アクティブラーニングでは平均学習定着率は75%になると言われています。
〈価値観が広がり、成長できる〉
日本にいるだけでは、なかなか知ることのできない異文化への理解を深めることができます。世界には私たちのまだ知らない様々な文化、習慣、常識を持った人々がいます。これらに触れ合い交流することで考え方に幅が広がり多様な考え方ができるようになります。
こうした、海外の人達と交流していく中で自分にとって普通ではなかった考えを受け入れる力が身につき、自身の価値観が広がり人としてより成長できます。
〈繋がりが増えて、仕事に繋がることも〉
留学することで海外に友人ができ、ネットワークが広がります。
海外で働きたい場合、特にフットボールなどのスポーツ業界で働きたい場合は、このコネクション多さやネットワークの広さが重要になってきます。
海外に留学することで、これらを広げることができ、将来の仕事に繋がる可能性もより高くなります。
〈留学経験が就職活動でのアピール材料になる〉
海外留学中に新たに興味の仕事が見つかったり、希望の就職先に行けなく、違う仕事に就く必要が出てきた場合など、人生は計画した通りには行かないものです。
そんなときでも海外に留学した経験はあなたのキャリア形成に大いに役立つでしょう。
留学した経験を就職活動でアピールすることが可能です。
しかし、ただ留学したことではなく留学先で何かを成し遂げた経験がアピール材料になります。
例えば「英語力を伸ばした成果」「海外インターンシップの成果」などが評価される傾向にあります。
就職する際のポイントは? 出会いや繋がりを大切に
スポーツ関連の仕事について、現地(海外)で就職する場合と日本で就職する場合のポイントを少し解説していきたいと思います。
現地(海外)で就職する場合の一番のポイントは「就労ビザ」です。日本国内の場合、私たち日本人は自由に就労、つまり仕事ができます。
しかし、現地(海外)で就労する場合、あらかじめ就労ビザを持っている必要があります。例えば、イギリスでは就労ビザを取得していない外国人に対して、どの企業も話しすら聞いてくれないなんてこともあります。
国によって就労ビザ取得の方法は様々ありますが、まずクリアしておかなければいけないのが就労ビザです。
スポーツ関連の就職を現地(海外)や日本でする場合、就職方法に特別違いがあるわけではありません。
就職や転職のエージェントにお願いしたり、大学のインターンシップ、インターネットで会社の求人情報をみつける、コネクションなどがあります。
ただ、スポーツ関連の就職方法と一般的な会社への就職方法は多少変わってきます。
皆さんが想像する一般的な会社へ就職活動する場合、ネットなどで公募などをみて申し込んだりすると思います。
しかし、スポーツ関連の場合、クラブなどから公募がされないなんてこともあるため、リバプール大学のFIMBA在学中や現地にいるときなどに、色々な人達に会ったりしてコネクションを広げておくことをおススメします。
つまり、どこで就職するにしても大切なのは、「出会い・繋がりを大切にする」ということです。
出会った人にあなた自身を知ってもらうことで、その人達から「〜〇〇というポジションに空きがでたから面接を受けてみないか?」「〜〇〇という企業がスタッフを探しているよ」などと話が来ることも少なくありません。
まとめ : 本気で海外に行きたくなったら
今回は、\「フットボールMBA」について徹底解説 留学方法や授業内容は?/ というテーマで、経営学を大学院で学ぶことや、サッカー専門のMBAについて解説をしてきました。
近年のビジネスは、どんどん複雑になってきています。
単純に、「いいものを作れば売れる」という時代ではなくなりました。
企業の経営者やビジネス担当者は、日々様々なことを考えて実践をしていかなければなりません。
残念ながら、日本では「スポーツMBA」という分野を学べる機会がほとんどありません。
今回ご紹介した「フットボールMBA」や、アメリカの大学院などで開講されている「スポーツMBA」に挑戦したい方は、ぜひ外国での学びに目を向けて、チャンスを掴んで頂ければと思います!
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◆今回の記事作成にあたって取材にご協力頂いた企業のご紹介◆
会社名:BAREFOOT(ベアーフット)
URL:https://barefootuk.co.uk/sports/
紹介:
BAREFOOT(ベアーフット)はロンドンに本社があるイングランドサッカー留学会社。選手や指導者、サッカービジネス留学などの個人プログラムも充実している一方、チームでのイングランド遠征や指導者研修、スポーツビジネス研修も手配可能。
長くイングランドのサッカー界に携わっていることから、サッカー関連の情報やノウハウ、クラブとの強い繋がりがある。
✔ MBA(経営学修士)について理解できる
✔ フットボールMBAの留学方法や準備が分かる
✔ フットボールMBAのカリキュラム内容や活用シーンが分かる