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スポーツのクラブあるいはチームには、GM(General Manager:ゼネラルマネジャー)やBM(Business Manager:ビジネスマネジャー)と呼ばれる役割を持った人がいます。
すべてのクラブやチームにこうした人物がいるわけではありませんが、近年はスポーツの競技やビジネスがとても専門的になり複雑になってきていますので、日本においても少しずつGMやBMといった役割を持った人たちが増えてきているようです。
では、このGMやBMというのは、どんなことをする人たちなのでしょうか?
結論を簡単に書いてしまうと、
GM ⇒ クラブやチームの戦力や、雇用を決める人
BM ⇒ クラブやチームの収入における活動を行う人
という役割を担う人たちのことです。
こうした人たちが活躍することによって、スポーツクラブはしっかりと経営ができるわけです。
今回は、このGMとBMという役割についてご紹介したいと思います!
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GM(General Manager:ゼネラルマネジャー)とは何か?
スポーツにおけるGMの役割は、主にクラブやチームの戦力や雇用を決定することです。
(サッカーではDirector(ダイレクター)という言葉が使われます)
つまり、「いかに勝てるチームを作るか」という責任者である、ということです。
「チーム作り」や「チーム運営」に関しては、日本ではよく「現場」という言い方をします。
GMという制度が盛んであるのがMLBやNFLといった、アメリカのプロスポーツです。
アメリカプロスポーツのGMの多くはシーズン中の休みがないほどに忙しく、1週間に休みがないことも普通だと言います。
彼らは多くの時間を球団の事務所で過ごし、チームがアウェーゲームのときも帯同しています。
さらにGMはメディアに対してもチームに関する多くのことを説明する必要があります。
GMは、クラブやチームでGM補佐をしていたか、元選手であった人がGMになることが多いようです。
「マネー・ボール(Money Ball)」という本で一躍有名になったオークランド・アスレチックスの元GM、ビリー・ビーン氏(William Lamar “Billy” Beane)も元々は将来を期待された有望な選手として1980年のドラフトでニューヨーク・メッツから1位指名を受けています。
ビーン氏は引退後、1990年にアスレチックスのスカウトとなり、そしてGM補佐になりました。
GMはシーズン中にも監督やコーチを解雇し、新たな人材を採用する権限を持っており、オフシーズンに入ってからは監督、コーチ、選手との交渉、契約、トレード、フリーエージェントなど、来期の戦いに向けた戦力調整をします。
さらに重要な仕事としてドラフトでどの選手を指名するか、というものがあります。
GMはコーチやスカウトと相談を重ね、チームの必要性に応じて最もよいと思われる選手を獲得します。
日本プロ野球のドラフトでは監督が参加し、抽選を行なうことが多いですが、アメリカのプロスポーツの場合、監督は戦力について口を出すことができないため、監督がドラフトに参加することはありません。
チーム低迷の原因は最終的にはGMにあるとされているため、日本のプロスポーツに比べると責任の所在が明確となっています。
日本のスポーツでいまひとつ「GM」が浸透しないのはなぜか?
日本のプロ野球やJリーグでもGMという制度は浸透しつつありますが、GM本来の意味とは違った形でGM業が行なわれてしまっている場合もあります。
2007年に北海道日本ハムファイターズのGMを努めた高田繁氏はGMを退職後すぐの2008年に東京ヤクルトスワローズという他球団の監督となってしまいました。(その後、高田氏は2011年から2018年に渡って横浜DeNAベイスターズでもGMとして手腕を発揮しました。)
横浜F・マリノスでも、2009年にチーム統括本部 本部長としてGMのような活動をしていた木村和司氏が、翌2010年には監督になったということがありました。
そして、木村氏は中村俊輔選手(当時スペイン1部リーグのRCDエスパニョール)獲得に当たっての失敗を結局は球団社長の責任であると言及し、その責任を負った球団社長は自らの給料を減額することで責任をとると決定しましたが、このように日本のプロスポーツの場合はアメリカプロスポーツのように責任の所在が明確でない場合が多く、結局、チームの低迷の原因については犯人探しのようになってしまうのが通例となっています。
日本のスポーツでなかなか「GM」という役割が定着しないのは、日本ならではの「現場」という考え方がネックになっていると考えられます。
上記のように、特にアメリカ型のスポーツにおいては、監督やコーチの意見・希望で選手を獲得するということはできません。
しかし、日本においては東北楽天ゴールデンイーグルスの監督を務めた星野仙一氏や、東京読売ジャイアンツの監督として有名な原辰徳氏といった「監督」が、実質的には現場の運営に大部分の権限を持つという、「監督兼GM」のような役割を与えられています。
こうなってしまうと、現場の意見や意向が非常に強くなり、監督が代わるたびにチーム強化や育成の方針が変わるという状況になります。
よって、日本のGMはそうした「知名度や実績のある監督」と同等かそれ以上の実績や経験、発言力を持ち合わせている人物でなければ、就任することすらできないという形になっています。
それでも日本でGMを目指したいときはどうすればいいか?
GMという仕事は非常に魅力的ではありますが、これからスポーツ業界に入りたい人や、スポーツビジネスを学んでいこうとする人にとっては、上記の理由のように目指すべき目標としてあまり現実的ではありません。
どうしてもGMになりたい人は、プロ野球やJリーグといった日本国内のトップレベルのクラブに入るよりも、独立リーグや地域リーグといったレベルでのチーム運営に関わり、そこでGMとしての役割を確立させてステップアップをしていくほうがよいかもしれません。あるいは、思い切って海外のクラブで仕事をするという選択肢もあります。
GMの仕事というのは時に残酷な仕事です。
育てた選手をトレードする、解雇する、といった責任も負います。
日本人は一般的に「解雇」や「リストラ」、「クビ」といったように、職場から「戦力」として認められないことに非常に大きな抵抗を持っています。
プロスポーツで「戦力外」となった選手を特集するテレビ番組が人気なのは、そうした日本人の心理に訴えかけるものがあるからかもしれません。
GMという仕事は、「負けたら叩かれるが、勝っても褒められない」という非常に過酷な仕事です。
したがって、かなり強靭なメンタルが求められます。
ぜひ、ひとりでも多くの人が「日本のスポーツにおけるGM」として成功してくれたらと思います。
BM(Business Manager:ビジネスマネジャー)とは何か?
BM(ビジネスマネジャー)は、チームの収入における活動を行なう人物です。
つまり、チケット販売、スポンサーシップ、マーチャンダイジング、放送権取引、イベント運営などを行ない、チームの収入をいかに上げるか、を考え実行するという仕事です。
GMは基本的に「お金をどうやって上手く使うか」という視点での仕事になりますが、BMは「お金をどうやって増やすか」ということが仕事になります。
したがって、GMとBMは求められる役割やスキルが全く違います。
GMはサッカーならサッカー、野球なら野球というように、その「競技」そのものに深く精通している必要がありますし、自身も競技経験があったほうが強みになります。
一方で、BMはその「競技」そのものに詳しいかどうかというよりも、その「競技」が持つ価値をどうやって最大化し現金化するか、ということが求められます。
よって、ビジネスマネジメントやマーケティング、ファイナンス、オペレーションといったことに精通している人物でなければならず、経営学修士(MBA)を取得している人間や、それに匹敵するビジネス経験がある人がBMになる場合が多くなります。
数年前には、日本のプロスポーツ球団でもCRM(Customer Relationship Management )という顧客管理のマーケティング手法が導入されたり、最近ではビッグデータ、AIといった技術を活用したビジネスなども行われるようになってきましたが、これらは元々は一般的なビジネスで扱われているもので、こうした技術だけが先走って球団経営の中心となる訳ではありません。
日本のプロスポーツでは、収入を生み出すのは主に「営業部」である場合が多いですが、親会社からの出向である営業部の部長などが、プロスポーツのマネジメント、マーケティング、などに明るいという例はあまり少なく、何となくの営業が行なわれていることが多いようです。
BMを目指すにはどうしたらいいか?
スポーツマネジメントにおいては、スポーツの競技や運動に関することをマネジメントする分野と、スポーツのビジネスに関わる分野をマネジメントするという2つの側面がありますが、BMとして必要になるのはビジネスにおけるマネジメントとなります。
よって、スポーツにおけるビジネスマネジメントを実践していきたい人は、「スポーツの世界でのビジネスの成功事例」を追いかけるよりも、一般的なマネジメントやマーケティングといったことをきちんと学んだほうがよいと思います。
理由は、スポーツマネジメントやスポーツマーケティングも、一般的に企業で行われるマネジメントやマーケティングの応用であるからです。
スポーツの専門学校であれば難しいかもしれませんが、大学でスポーツマネジメントを学ぶ場合は、一般的な「経済学」「経営学」「マーケティング」「金融」といった分野が必ずあるはずです。
「スポーツ」という名前がつく科目ばかりではなく、そうした一般的なマネジメントの基礎科目をしっかりと勉強すると、スポーツマネジメントの特徴や面白さ、あるいは難しさということが見えてくると思います。
・ビジネスに興味がある人
・新しいことに挑戦できる人
・様々な知識を組み合わせてアイデアにできる人
・スポーツ以外のことにも関心が高い人
・スポーツの価値を伝えることが上手な人
日本においては、「BM」という肩書は少ないかもしれません。
「営業部長」とか「広報部長」などのように、企業がビジネスをする際に実施する特定の「役割」の名前を使う場合が多いかもしれませんが、マーケティングや広報、営業といったことはすべて「売上を伸ばす」ために実施する行為です。
こうした仕事をこれから目指す人は、「自分のやりたいことはどうやって売上に貢献できるのか?」ということをしっかりと意識して勉強や就職活動に取り組んでもらえたらと思います!
まとめ ~マネジメント人材は圧倒的に足りない!~
今回はスポーツ球団における「GM」と「BM」の役割や違いについてご紹介していきました。
おさらいすると、GMとBMの役割は、
GM ⇒ うまくお金を使ってチームを強くする人
BM ⇒ スポーツの価値を利用してお金を稼ぐ人
でしたね!!
日本においては、GMもBMもまだまだ一般的ではありませんが、このサイト(ゼロからのスポーツビジネス入門)を読んで、とてもやりがいのあるこの2つの仕事に挑戦する人が出てきてくれると嬉しいです!
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・負けず嫌いな人
・情報収集が上手な人
・冷静に人と向き合える人
・失敗を引きずらない人
・他の人が気づかないことに気づける人