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今回は、「経済学」を学ぶとスポーツビジネスに対してどのように活かせるか、というお話をしたいと思います。
大学生の中には、「経済学部」や「経済学科」といった学部・学科に所属している方が多くいると思います。
高校生でも、そうした「経済関連」の学部などを目指して受験勉強をしている人もいると思います。
しかし、大学で「経済学」を学んでも「経済のことはよく分からない」という人も多いです。
しかも、それを「スポーツ」と結びつけるとなると、なおさら難しく感じてしまう人も多いと思います。
今回は、「経済学」を知る上で押さえたい簡単なポイントと、「スポーツビジネスにどう役立つのか?」というのをご紹介したいと思います!
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「経済学」ってなんですか?
そもそも「経済学」とは何なのか? というお話からしてみたいと思います。
「経済を学ぶ」と書いて「経済学」ですので、まずは「経済」というものを知る必要があります。
「経済」というものは、簡単に言えば「お金の動きをともなう活動」のことです。
例えば、「税金を払う」「お金を貯金する」「商品やサービスを買う」「働いてお金を稼ぐ」といったことは、すべて「お金の動きをともなう活動」になるので、これらを「経済」あるいは「経済活動」と呼びます。
「お金の動きをともなう」と言うと、「現金」の動きだけかと感じるかもしれませんが、経済学で扱う「お金」というのは「現金」だけではありません。
先ほどのように「働いてお金を稼ぐ(労働)」や「土地(不動産)」といったものも対象になります。
つまり、「値段を決めることができるもの」や「お金で交換できるもの」はすべて「経済」であり、「経済学」で学ぶ対象になる、ということです。
また、経済学には色々な分野があります。
たとえば、「マクロ経済学」とか「ミクロ経済学」とか「計量経済学」とか「行動経済学」といったものです。
今回は、これら1つ1つのご紹介はしませんが、いずれにしても「経済を考える」ときに大切になるのは、「希少性」というものを考えることです。
「希少性」というのは「ものごとには限りがある」ということです。
アルバイトをしても無限にお金を稼げるわけではないですし、食料や日用品といったものも、無限に生産できるわけではないので、「数に限りがある」ということです。
したがって、経済学というのは、「ものごとには限りがある」ということを前提として、
1.What ・・・ どんな商品やサービスが作られるべきか、提供されるべきか?
2. How ・・・ どのように商品やサービスを作るべきか、提供するべきか?
3. Who ・・・ 誰がその商品やサービスを買う、受け取るべきか?
基本的な「経済問題」としての「希少性」
といったことを考える学問であると言えます。
つまり、「スポーツ」という題材をテーマにして「経済学」を考えるとするのであれば、
「スポーツというものを使って、どんな商品やサービスを作ったらよいだろうか?」
「スポーツを使って、どうやって商品やサービスを作ればよいだろうか?」
「スポーツを通じて作られた商品やサービスを、誰に買ってもらえればよいだろうか?」
ということを考えるのが「スポーツビジネス」における「経済学」ということになります。
考えてみれば、当たり前のことだと思いませんか?
「経済学」と聞くと、難しい用語や理論がたくさん出てきて、あまり好きになれない方もいると思いますが、そんなに難しく考える必要はないのです!
経済学では「選択」も大切です!
ここまで、経済学は「希少性」」という、「限りがあるものをいかにうまく使うか」ということが大切であるとご理解頂けたかと思います。
もうひとつ大切なことがあります。
それは「選択(Choice)」ということです。
「モノに限りがある」のであれば、自分が欲しいものをすべて手に入れることはできません。
たとえば、あるスポーツチームが1試合で売り出すチケットの枚数が3万枚なのであれば、3万人しかそのチケットを買うことはできません。
また、あなたが「今日開催されるJリーグの試合をすべて同時に観たい」と思っても、それは不可能であることは簡単に想像できるかと思います。
つまり、スポーツチームの側からみれば、「本当は10万人にチケットを買ってほしいけど、1試合にスタジアムに入れる人が3万人しかいない」という状況であれば、「どの3万人にチケットを買ってもらうか」という「選択」をしなければなりません。
一方、あなたは「同時にすべての試合を観る」ということは不可能ですから、同じ日に開催される試合の中から、自分が一番観たい試合を「1試合選ぶ」という行動を取るはずです。
これが、経済学で扱う「選択(Choice)」ということです。
モノごとには限りがありますので、常にどれかを「選ぶ」必要があるのです。
これも、先ほどご紹介した「希少性」のように、考えてみれば当たり前のことです。
私もみなさんも、日常生活の中でこうした「選択」を日々無意識に行っています。
ただ、これからスポーツビジネスを学びたい方や、スポーツビジネスに関わりたい方は、この「希少性」と「選択」をということをよく覚えておいてください。
例えば、仮にあなたが「サッカークラブで仕事がしたい」と考えているとしましょう。
「ビジネス」をするためには、「商品」や「サービス」を作り出して、誰かに「売る」、つまり「買ってもらう」ということが必要になります。
あなたが「サッカー」というスポーツを通じて作り出した「商品」を誰かが「買う」ということは、その商品を「買う人」は「選択」をする、ということです。
つまり、他に買いたいものや欲しいものもあるけれど、その人はあなたの作り出した「商品」を買うのですから、他に買いたかったものよりも、あなたの商品に魅力を感じたのです。
スポーツビジネスを考える際に、この「選んでもらう」という考え方はとても大切です。
あなたのチームの試合のチケットの値段を仮に「5000円(1枚)」とするのであれば、それを買う人には、「最高の5000円の使い方をした」と感じてもらう必要があるからです。
「5000円」あれば他にも色々な商品を買ったりサービスを受け取ったりすることができますよね。
例えば、「美容院に行って髪を切る」とか「ちょっと豪華なディナーをする」とか、「スマホゲームに課金する」とか、色々な使い方ができると思います。
こうしたように、限られた条件の中で、どれか1つを選ばなければいけない状況のことを「経済学」では「トレードオフ状態(Trade-off)」と呼びます。
「5000円のチケットを売る」のであれば、上記のような「ほかにも色々ある5000円の使い方」よりも「価値が高い」と感じてもらう必要があります。
でなければ、よほどの「スポーツ好き」という人でなければ、スポーツビジネスはなぜ稼げないのか?でも述べたように、わざわざ「スポーツ」に対してお金を出そうとは思いません。
ビジネスをする際に、こうした視点がなければ、人々が欲しいと思わないものを一方的に作ってしまったり、宣伝したり、売れないと分かれば「タダ」同然でチケットをバラまく、といった状況に陥ります。
今はほとんどないと思いますが、一昔前までは、プロ野球ですら「観客が入らないのでタダ券をバラまく」といったことを普通にやっていました。
これでビジネスがうまく行くはずがありません。
ですので、スポーツビジネスを志す方は、ぜひここまでご紹介した「希少性」と「選択」といった「経済学」の基本的な考え方をぜひ頭に入れて、ビジネスを学んだり、お仕事に活かしていってほしいと思います。
「経済学」が分かるとスポーツをビジネス視点でみることができる
さて、では「経済学」が分かると「スポーツビジネス」にどうやって活かせるのか、という具体例を考えてみたいと思います。
ここではスポーツビジネスにとって身近なネタを使って「経済学」に当てはめてみたいと思います。
チケットの価格はどうやって決まるのか?
スポーツに限らずですが、特に「娯楽」を楽しむ場合は「チケット」というものを買う場合が多いと思います。
例えば、コンサートやライブ、テーマパークや映画館など、なにかと普段の生活の中で「チケット」というものを買うことは珍しくないですよね。
この「チケット」というものは、どのようにして値段が決まっているのでしょうか?
大体の場合は、「他のチームの試合のチケット価格がこれくらいだから、ウチもこれくらいで」とか、「これくらいの売上目標を達成したいから、1枚あたりの金額はこれくらいかな」という感じで決める場合が多いと思います。
しかし、「経済学」的には「モノの値段」というのはそんなに簡単に決まるものではありません。
経済学では、モノの値段は「市場での需要と供給が一致する価格で取引される」とされています。
簡単に言えば、「売りたい人と買いたい人が、お互いに納得できる値段で商品の価格が決まる」ということです。
上記で触れたような「チケット価格の決め方」というのは、あくまでチケットを「売りたい側」の都合であって、「買いたい側」の都合を考えていません。
チームとしては「5000円」でチケットを売りたいとしても、「買いたい側(お客さん)」が「5000円の価値はない」と判断すれば、値段を下げざるを得なくなるのです。
なぜ「買いたい側」が「5000円の価値がない」と判断できるのか、というと、先ほども述べたように、「5000円で買えるもの」が他にもたくさんあるからです。
一方で、あなたが「5000円のチケットを買いたい」と思っても、売り切れで買えなかったらどうするでしょうか?
「5000円」でそのまま譲ってくれる人がいればラッキーですが、現実はそう簡単にはいきません。
大体の場合は「オークションサイト」などでチケットが転売され、元々は5000円だったチケットが2万円で売られていたり、場合によっては10倍以上の値段になってしまうことがあります。(こうした「転売」は規制される方向にありますが)
みなさんもこうしたことを体験したことがあると思いますが、これは「売りたい人」や「買いたい人」がたくさんいる場合に「競争」というものが生まれることによって「モノの値段」が変わるのです。
したがって、あなたがスポーツを通じて作り出した「チケット」という商品を売るためには、あなたやあなたの会社の都合で一方的に「チケット価格」を決めるのではなく「チケットを買う人」の都合も考えなければならないのです。
「チケットを買う人」が、「チケット1枚にいくらまでお金を出すつもりがあるのか」というのを良く「知る」ということが大切になってきます。
先ほど、「経済学」では、モノの値段は「市場での需要と供給が一致する価格で取引される」とご説明しましたが、「市場」というのは英語で言えば「マーケット(Market)」のことです。
「マーケット(Market)」で、いかに自分たちにとって「有利な状況」を作り出すかを考えたり、色々な活動をすることを「マーケティング(Marketing)」と呼びます。
だから、「マーケティング」では自分たちにとっての「お客さん」や「お客さんになってくれそうな人」、「競合の企業や商品」といったことをよく理解することが大切なのです。
「経済学」というのはこのように、企業活動の「マーケティング」や「ファイナンス」といったものと深い関わりを持っています。
日本では「経済学」と「経営学」というものは「別物」のように扱われ、あまり関連性がないような感じで大学などでも教えられることが多いですが、アメリカでは「経済学」と「経営学」は深い関わりを持つものとして、高校生や大学生に教えられています。
これが、日本とアメリカでのスポーツビジネスの大きな差になっている1つの要因かもしれません。
最近では、「クラブのファンを増やしたいから、SNSでマーケティングをしよう」といったことを考えたり、プロスポーツクラブの取り組み事例などを勉強している人もいると思います。
それ自体はとても良いことですが、今回ご紹介したような「経済学」的な視点や、「経済学とマーケティングの関係」などをきちんと理解して取り組まなければ、本質的な「課題解決」は難しいと思います。
今回はご紹介できませんが、ほかにも「なぜスポーツ用品を日本ではなく海外で作るのか?」といったことや、「なぜプロスポーツ選手は年俸の交渉で揉めるのか?」といったことも「経済学」の理論で説明することができます。
「経済学を学ぶとスポーツビジネスに役立ちそう!!」って思いませんか??
まとめ ~経済学を少し活用するだけで劇的にビジネスが変わる~
今回は、\スポーツビジネスで「経済学」を学んだほうがいい理由/ というテーマで、「経済学」の「基本的な考え方」や「ビジネスへの活用」などを簡単にご紹介してきました。
なにごとにも「限りがある」ということと、つねに人は「選択」をしなければならない、というのが「経済」の原理原則であることはご理解頂けたかと思います。
残念ながら、現状の「スポーツ産業」という業界は、お金も人材も、他の業界に比べて足りません。
したがって、他の業界よりもさらに「限りがある」という中で、他の業界にも負けないくらいの魅力ある商品やサービスを作り出して消費者や地域の人に「選んでもらう」というのは、簡単ではないことがお分かりいただけるかと思います。
ですが、他の業界でもこうした「経済学」の考え方をきちんとビジネスに当てはめている場合や、「マーケティング」をきちんとできている例というのは、少ないのです。
ですので、スポーツビジネスを志す人達が、こうした「経済学」や「経営学」といったことをきちんと学んで、それをビジネスに応用すれば、「スポーツ」というモノの価値はもっと大きくなっていくと思いますし、スポーツ産業自体も伸びていくのではないかと思います。
こうした人材がひとりでも多く育ってほしい、ということが、私がこのブログをやっている最大の目的でもありますし、このような小さなことをきっかけにして、スポーツ産業に貢献できたらいいなと思っています!
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✔ 「経済学」の本質が理解できる
✔ モノを「売る・買う」ときのメカニズムが理解できる
✔ 「経済学」の視点でスポーツをみることができるようになる