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【セミナーレポート】新しいスポーツマーケットの可能性 -グローバルの潮流と日本のスポーツビジネスの現状と今後

photo of multi colored basketball court
Photo by Santiago Pagnotta on Pexels.com

今回は、2021/3/25に一般社団法人 新経済連盟が主催した【新しいスポーツマーケットの可能性 -グローバルの潮流と日本のスポーツビジネスの現状と今後】というセミナーに参加してきましたので、その内容や感想などをレポートとして残しておきたいと思います。


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セミナーの概要

コロナ禍によって、スポーツビジネスが大きな影響を受けている中で、今後の新しいスポーツマーケットをいかにして立て直し、また成長産業として再構築していくかが世界規模で問われている。

一方、スポーツに対する期待もまた従来とは大きく変わりつつあり、デジタルを駆使した様々な試みが行われるなど、スポーツの持つ価値に期待が高まっている。

今回のセミナーでは、スポーツビジネスのフロントランナーによるwith/アフターコロナ時代におけるスポーツビジネスの現状と展望について学ぶ。

セミナーの登壇者

・早稲田大学 原田宗彦先生
・桜美林大学 小林至先生
・JUNGLE X 直江文忠氏
・電通グローバルスポーツ局 大井義洋氏

原田宗彦先生(早稲田大学)のお話

・コロナによって人々の価値観が大きく変わってきた

・コロナ禍で「自分の時間を作ることができた」という人がいる一方で、「運動不足」が課題になっている。

・世界的には、困難な出来事に対して適応する力である「レジリエンス」が求められている。

・また、世界全体として「エクササイズ」や「健康管理」といったことが改めて注目されている。

・2020年に横浜市が実施した調査によれば、スポーツ実施率が前年よりも上昇している。また、「スポーツをすることが好き」という人も前年より増加している。

・具体的には、ウォーキングやラジオ体操などのひとりで気軽に行えるスポーツの実施率が伸びている。「スポーツに関心がない」という人が減っている。

・ファッションブランドの世界でも、スポーツやアウトドア的な要素を取り入れた最新ファッションが登場してきている。

・アメリカでは、コロナ禍において「アウトドア市場」が非常に伸びている。特に自転車やカヌー、ゴルフ、キャンプといった市場が伸びている。日本では正式な数字が出ていないが、おそらく同様の傾向にある。

・今後のスポーツは、「メガイベント」という概念が通用しなくなるかもしれない(ラグビーワールドカップ2019が最後?)

・「みるスポーツ」は苦しい状況だが、「するスポーツ」が回復傾向にあるため、スポーツ全体は「する」から回復すると思われる。

・「スポーツ健康まちづくり」が国としても大きなテーマになっている。

・国交省では2020年に「ストリートデザインガイドライン」というものを公表し、近未来への都市空間デザインが進んできた。

小林至先生(桜美林大学)のお話

小林先生からは、「スポーツベッティング」に関する国際的な動向についてのお話でした。

・スポーツベッティングは世界では330兆円の規模に成長してきており、世界のスポーツビジネスの中核となってきている。

・日本のスポーツにも公営競技やtotoなどがあるが、世界とは比較にならない規模となっている。

・スポーツベッティングが発展してきた背景としては、世の中の「デジタル化」の影響が大きく、オンライン上で世界中のスポーツに対してベッティングができるようになってきている。

アメリカでは長らく「スポーツベッティング」は前向きに捉えられていなかったが、2018年から合法化されて一気に加速してきた。

・それに伴い、アメリカの4大スポーツは「コンテンツ価値」が大きく増加し、今後5年間で売上が倍になると予想されている。実際、NFLは3/19に発表された内容によると、10年契約で11兆円もの放送権契約をテレビ局と締結した。(従来の契約の約1.8倍)

・スポーツベッティングが盛んになることで、スポーツの協会やリーグ、チーム等だけではなく、周辺産業(映像配信、データ解析、ブックメーカーなど)にも大きな売上増をもたらすとされている。

・カナダやブラジル、フィリピンなどの国でもスポーツベッティングが合法化される動きが活発になってきている。

JUNGLE X 直江氏 のお話

外貨を稼ぐために、日本のスポーツをベッティングの対象にしてイギリスなどに売り込んでいきたい。

・イギリスでは、トップレベルのスポーツだけではなく、下部リーグやマイナーなスポーツでもベッティングの対象にすることができる。

・日本においてはコロナ禍でスポーツクラブのクラウドファンディングなどが実施されることが多くなってきているが、売上に対しての影響度は1%程度でしかない。

・日本のプロ野球はコロナ前の過去3年においては平均して1%程度の観客動員数増加をしてきたが、コロナによって一気にダウン。収益に関しても1995年から2015年にかけて約500億円程度を上積みしてきたが、これもコロナによって大幅に減少。スポーツそのものでは収益を上げていくことが難しくなってきている。

・実際、野球は1試合に3時間程度の時間をかけて行われるが、1試合あたりの売上は2億円程度しか出すことができない。一方、競馬に関しては1レースの時間は2分程度しかないが、450億円ほどかせぎだすことができる。

・日本の「スポーツごみ拾い」や「青森ねぶた祭」のようなオリジナルコンテンツを上手く活用すれば、スポーツでもっと外貨を獲得することができる。

電通グローバルスポーツ局 大井氏 のお話

・コロナウィルスの影響はビッグクラブでも免れることはできず、サッカーのバルセロナでも120億円もの赤字を計上した。

・イングランドのプレミアリーグでは、PPTVとの放送権契約を打ち切り、中国の大手IT企業のテンセントと放送権契約を結んだ。

世界のeスポーツにおける市場は確実に伸びてきており、2018年から23年にかけて2倍以上に成長すると予想されている。

・アメリカでは、スポーツベッティングが合法化されたことから、スポーツベッティングを扱う企業に対しての投資が加速している。

・日本では、選手やチームを直接支援することができる「ギフティングサービス」が登場してきた。

セミナーを受講してみての感想

「スポーツ」というものは「選択財」であると言われています。

つまり、「人々の生活に余裕があるとき」しか消費されない性質を持っているということです。

コロナウィルスによって人々の暮らしが脅かされている中においては、スポーツは真っ先に削られてしまうモノなのです。

そんな中でも、人々は「健康」というものを必ず必要とします。

スポーツ(運動)を全くせずに健康になるということはほぼ不可能に近いと思います。

ですので、「健康」ということにひとりひとりが今まで以上に向き合わなければならない世の中において、「ひとりで気軽に行えるスポーツ」という意味での、散歩やジョギング、ストレッチ、筋トレなどは、実施率が上がっているのだと思います。

スポーツは、「する・みる・ささえる」などと言われることがありますが、大前提としてはスポーツは「する」モノだということです。

「する」がなければ「みる」も「ささえる」も生まれてきません。

したがって、とにかく「する」人をいかに増やすか、「する」回数をいかに増やすか、ということがスポーツ産業全体の底上げにとって非常に大切なのです。

一方、今回のセミナーで割と大きなトピックとして扱われた「スポーツベッティング」ですが、うまく活用すればスポーツ産業の「」になりますが、そうでなければ「」にもなりえる、諸刃の剣です。

コロナ禍において、スポーツそのもので収益を生み出すことはとても難しくなってきています。

というより、コロナ以前においてもJリーグのクラブなどの多くは収益を生み出すことに苦しんできましたので、本質的に「スポーツで稼ぐ」ということは簡単なことではないのですが、やはり会場に足を運ぶことができない、選手とふれあうこともできないとなると、スポーツに対する関心や消費が一気に落ち込んでしまうことはやむを得ません。

日本においては各プロスポーツが経営に苦しむなかで、ほとんど影響を受けなかったものがあります。

それは、競馬などに代表される「公営競技」です。

公営競技」の売上は、観客のチケット購入による収入ではなく、「賭け金」による収入です。

ですので、会場に人がいるかどうかはあまり関係がなく、どうしても「競馬」というスポーツそのものを見たい人を除けば、「レースの結果」さえ出れば商売として成り立つということです。

すでに、サッカーでは「公営くじ」としてのtoto(トト)くじがJリーグの試合を対象に導入されていますが、Bリーグにもこれを導入しようとする動きが出てきています。

スポーツくじ自体の年間売上は現状では1000億円程度ですが、スポーツくじの開始以降、確実に規模を大きくしてきており、スポーツ振興の財源として貴重なものとなっています。

スポーツベッティングでは、「試合の結果」だけではなく、選手個人の成績やよりリアルタイムな結果などが賭けの対象になっていきます。つまり、もっと膨大な賭け金を集めることができるということです。

サッカーにtotoくじを導入するときにも、大きな反対運動が起こりましたが、スポーツベッティングがこれだけ世界的に加速しているとなると、日本もその流れには逆らうことはできないと思われます。

ここで大切なのは、スポーツベッティングが良い悪いということではなく、「スポーツが金儲けの目的だけに利用されたらどうなるのか」ということです。

資本主義の現代においては、お金の存在は重要ではありますが、お金は「生きる手段」であって「目的」にはなりません。

ところが、「お金自体が目的」になってしまっている業界やビジネスが存在していることも事実です。

そうした中で基準となるのは「稼げるかどうか」というだけになってしまいます。

これまでもスポーツは「企業から自立しなければいけない」「自分たちでもっと稼げるようにならないといけない」と言われてきました。

そうしたことが言われだしてから十数年が経過していますが、本当にスポーツが「自立」したのかというと、決してそうはなっていないと思います。

ですので、改めて重要なことは、「スポーツは本当に自立するべきなのか」ということです。

企業に支援をしてもらってスポーツをするのはダメなのでしょうか?

学校の部活動が日本のスポーツを支えているという状況は望ましくないのでしょうか?

国が目標としている「2025年にスポーツ産業を15兆円にする」という目標は、本当に達成する必要があるのでしょうか?

こうしたことを、いま一度よく考えてみる機会をみなさまも持っていただけたなら幸いです。


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須賀 優樹
2021年4月より産業能率大学でスポーツマネジメント分野の講師を務める。「世界で一番優しくスポーツビジネスを学べる場をつくる!」を目標に、本サイトを立ち上げ、運営中。スポーツ業界に入りたい人、活躍したい人をこれまで多数支援。本業は「データ活用(データプランニング)」。スポーツ産業のデータ活用やデジタル化を一緒にやらせて頂ける方を探しています。