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近年、「スポーツ産業」という言葉をを聞くことが多くなりました。
スポーツに関わるようなビジネスを行う企業や団体が増えてきたということでもあります。
でも、「スポーツビジネスっていったいどんなビジネスなのか?」といったことや、「どんな企業に入れば自分のやりたいことができそうか?」といったことで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は「スポーツビジネスってこんな感じの種類があるよ」という意味での、「日本標準産業分類」というものに沿った、「スポーツ産業」についてみていきたいと思います。
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「スポーツ産業」とは何か? 正式には存在していない!?
スポーツ産業というものは「これがスポーツ産業です」と明確に決められているわけではありません。
ただ、日本においては「産業」の分類として、1949年に設定され、数年おきに改訂されている「日本標準産業分類」というものが存在しています。
これは、ビルなどの建物を作る企業であれば「建設業」、食品や衣料品などを作る企業であれば「製造業」、といったように、「企業がなにをやっているのか」という基準で、区分しているものです。
しかし、その中に「スポーツ業(産業)」という分類が決められているわけではなく、さまざまな産業の中にスポーツに関わるようなビジネスが存在しており、それらを総称して「スポーツ産業」や「スポーツビジネス」と呼んでいるのです。
したがって、スポーツ関連の書籍や雑誌、インターネットの記事、大学でのスポーツ産業論の講義等では、「スポーツ産業」として扱っているビジネスや市場が全く違う場合があります。
スポーツ産業やスポーツビジネスはここ十数年で急激な変化を遂げており、「日本標準産業分類」だけでスポーツ産業を定義しようとするのは非常に難しくなっています。
なので、近年は国や大学等でもスポーツ産業に関する新たな定義や考え方などをさまざまな角度から考察し、全体像を明らかにしようという取り組みが進められています。
これを見れば「スポーツ産業」がなんとなく分かる
下記の表は、日本標準産業分類の「大分類」のそれぞれに、スポーツに関わるようなビジネスを例として入れてみたものです。
日本産業分類の大分類 | それぞれの産業でのスポーツ関連ビジネス |
---|---|
農業・林業 | 芝や馬の育成、スポーツ用具の木材の育成、伐採など |
建設業 | スポーツ施設の建設、周辺道路の整備など |
製造業 | スポーツ用品の製造、スポーツ関連の飲食物、健康食品の製造など |
情報通信業 | スポーツニュース(新聞、テレビ、インターネット)、スポーツに関する出版、スポーツ番組制作、放送権の売買、スポーツ関連ゲーム等の開発・販売、スポーツ関連のマーケティングリサーチ、スポーツ関連のITシステムの開発・売買、スポーツデータ解析など |
運輸業・郵便業 | スポーツ用品やイベント用機材等の運搬など |
卸売業・小売業 | スポーツ用品の輸入・輸出・販売・リサイクルなど |
金融業・保険業 | スポーツ傷害保険サービス、スポーツ関連企業への融資、株式売買など |
不動産業・物品賃貸業 | スポーツ用品のリース、スポーツ施設の運営、警備、売買、スポーツビジネスに関する土地の賃貸など |
学術研究、専門・技術サービス業 | 広告代理、写真業、デザイン業、コンサルタント業(選手マネジメント・代理業)、弁護士、公認会計士、税理士、栄養士、インストラクター、スポーツに関する研究機関、トレーニングセンターなど |
宿泊業・飲食サービス業 | スポーツ宿泊施設(ホテル・ペンション・旅館)、スポーツバー、スポーツカフェ、スポーツ施設内や周辺での飲食業など |
生活関連サービス業・娯楽業 | プロスポーツ、スポーツツーリズム(旅行企画、旅行代理店)、リゾート経営、イベント企画、大会・競技運営、公園の運営管理、フィットネスクラブなど |
教育・学習支援業 | 学校指導、スポーツスクール運営、スポーツ健康授業など |
医療・福祉 | 医療機関、スポーツドクター、トレーナー、マッサージ関連など |
サービス業(他に分類されないもの) | スポーツに関する人材派遣業など |
公務(他に分類されるものを除く) | 行政機関(関連法規の制定、スポーツ団体の所管等)、各種スポーツ団体など |
出所:総務省「日本標準産業分類」と新日本有限責任監査法人「最新スポーツビジネスの基礎 スポーツ産業の健全な発展を目指して」を参考に筆者作成
「日本標準産業分類」は元々、商品やサービスを提供する側の視点で分類されているものです。
つまり「企業側からみたスポーツビジネスの分類」ということになります。
スポーツビジネスというものは、食品などを売る場合のような「企業→消費者」というような一方通行ではなく、実際にスポーツを「する人」や「みる人」、「ささえる人」などの存在によって成り立っている場合も多いことから、「日本標準産業分類」だけでスポーツ産業を全体を正確に理解することはできません。
1つの企業が複数の産業にまたがってビジネスを行っている場合もあります。
例えば、スポーツ用品の「ミズノ」であれば、「製造業」としての「スポーツ用品製造」以外にも、野球のバット用の木材の育成(林業)や、フットサルコート等の建設コンサルティング(建設業)、スポーツ施設経営(不動産業)、直営店でのスポーツ用品販売(小売業)など、1つの企業が複数のスポーツ関連ビジネスを手掛ける場合もあります。
「日本標準産業分類」よるスポーツ産業の分け方では、どの業種にでどのようなスポーツ関連ビジネスが行われているが分かりやすい半面、上記のミズノのように、1つの企業でさまざまな事業を行っている場合に、少し分かりにくくなってしまうという点があります。
こうしたスポーツ産業の考え方をもう少し分かりやすくしたものに、「伝統的3領域」という考え方があります。
この考え方は、「スポーツを通じて何を生産しているのか?」という視点で、スポーツから生産される商品やサービスを「スポーツ用品」「スポーツ施設」「スポーツサービス」といった形で分類し、それぞれがリンクしあうことによって様々なスポーツの経済的価値を生み出しているとしています。
現在の「スポーツ産業」はより複雑になってきており、こうした「3分野」以外にも様々な領域がスポーツ産業として捉えられてきていますが、スポーツ産業の中心となっている領域は今でもこうした3分野であることは間違いないと思います。
日本においてスポーツ産業に関する研究が本格的に始まったのは、1990年代頃からだとされていますので、まだまだこの分野の研究は始まったばかりでもあります。
今後、様々な研究者や実務家などが「スポーツ産業」に関する研究を重ねて、スポーツ産業のより正確な定義や、社会に対してどの程度の貢献をしているのかといった指標づくりなどが進んでいくことが期待されています。
まとめ ~スポーツ産業は今後もどんどん複雑になっていく~
今回は、「スポーツ産業を知ることがスポーツ業界へ入る近道!」というテーマで、「日本標準産業分類」という、国が決めた様々な企業を分類する考え方で、「スポーツ産業」についてみていきました。
現代の「スポーツビジネス」は、色々な業界や業種などが合わさってビジネスになっていることも多いので、とても幅が広くなっています。
ただ、「スポーツの仕事ってどんなものがあるのかな?」と思ったときには、この「日本標準産業分類」から見た「スポーツビジネス」を調べてみると、何かのヒントになるかもしれませんね!
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✔ スポーツ産業を理解するための考え方がわかる
✔ スポーツ産業を理解するときの注意点がわかる
✔ スポーツ関連の企業が様々な業種に関わっているのがわかる