スポーツの「産業」や「市場規模」を調べるコツ! 根拠のあるデータを使いこなそう!

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ユウ
「スポーツやスポーツビジネスの魅力を多くの人に知ってもらいたい」という想いから当サイトを運営。スポーツビジネスを学びたい、携わりたいという人に向けて情報発信。大学教員として大学生にスポーツマネジメントを教えた経験もアリ。

今回は、スポーツビジネスを学ぶ・調べる・実践するというときに大切になってくる、「スポーツ産業」あるいは「スポーツ市場」というものを、どのように調べればいいのか? について書いてみたいと思います。

学校でレポートや論文を書いたり、スポーツ関連のビジネスを立ち上げたりするときに、必ず必要になるのが「スポーツ産業」や「スポーツ市場」をリサーチする・理解する、ということです。

きちんと日本のスポーツの現状や課題、海外のと違い、スポーツ産業の実態などを理解していくために、少しでもそうした理解が深まるような「調べ方」や「コツ」をご紹介していきたいと思います。

この記事で学べること

✔ 「スポーツ産業」を調べる大切さが分かる

✔ 「スポーツ産業」を理解するためのデータが分かる

✔ 「スポーツ産業」や「スポーツビジネス」のレポート作成、事業立案に役立つ


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スポーツビジネスについて簡単におさらい!

最初に、「スポーツビジネス」というものを簡単におさらいしてみましょう。 

スポーツビジネスには大きく分けて2種類があります。

「スポーツそのもの」を商品として売っている

「スポーツを通じて」何かを売っている

「スポーツビジネス」の大きな分け方としての2種類

さらに、

✔ 「スポーツ産業」という産業は、正式に決められた産業ではない

様々な産業が行っているスポーツに関わるビジネスを総称して(まとめて)「スポーツ産業」と言っている。

「スポーツ産業」の定義

というのが、「スポーツビジネス」と「スポーツ産業」の特徴になります。

ですので、「スポーツビジネス」や「スポーツマネジメント」といった分野で出版されている書籍(本など)によっても、「スポーツ産業」をどのように定義しているかは異なっているようです。

では、「スポーツ産業」を学んだり調べたりする上で、いったい何を参考にすればその全体像や詳細なデータが得られるでしょうか。

「スポーツ産業」を語る上でよく参考にされる書籍(データ)をいくつかご紹介していきたいと思います!

日本人の「余暇」に関することなら「レジャー白書」!

レジャー白書は、公益財団法人 日本生産性本部 が「レジャー・余暇活動」に関わる市場、産業を調査し、毎年創刊している書籍です。

創刊されたのは1977年と、約40年に渡ってスポーツに関する市場を調査しているだけあり、スポーツに関する研究、論文や書籍に引用されることが非常に多いです。

レジャー白書」に書かれていることは、「日本人がどのように余暇を過ごしているか」ということがメインテーマとなっています。

したがって、「レジャー白書」に書いてあることはすべてが「スポーツ」に関係することではありませんが、「スポーツ」に関係する部分としては、

各年代のスポーツ参加率

✔ 各スポーツの参加人口

✔ 各スポーツに対して個人が支出した金額

✔ スポーツ用品市場やスポーツサービス市場の規模

✔ スポーツ観戦料の推移

「レジャー白書」で分かる「スポーツ産業」のアレコレ

といったことが書かれています。

基本的には「一般の市民がスポーツをどのように楽しんでいるのか?」ということを理解するために活用できる資料だと考えて頂ければよいと思います。

たとえば、あなたがどこかの地域を対象として「スポーツビジネス」をやりたい場合、そもそもその地域であまり「スポーツ」に関心がある人がいないのであれば、スポーツビジネスをするのは難しいかもしれません。

そうしたときに、「レジャー白書」を見れば、「静岡はフットサルをやっている人が他の地域より多そうだな」とか、「ボウリングはどの地域でもある程度人気がありそうだ」といったことがわかります。

スポーツビジネスに限りませんが、特に「地域性」に左右されるようなビジネスをする場合は、こうした「地域別」のデータなどを調べることはとても大切です。

また、「論文」などを書く時にも、こうした文献のデータを使って、「このスポーツにはこういう問題点があることが、データから明らかになっている」といったことが書ければ、論文の「説得力」がグッと増します。

「レジャー白書」は、「大学図書館」や「地域の図書館」でも所蔵している場合が多いので、スポーツビジネス、スポーツ産業を学ぶ際はぜひ一度ご覧になってみてください。

ちなみに「レジャー白書」は以下のような本です。レジャー白書は毎年刊行されていますので、できれば最新のものをご覧になられたほうがよいです。

ただ、購入するとなると7000円程度しますのでやや高価です。図書館などに置いてある場合は図書館で探してみた方がよいと思いますが、図書館ではこうした「白書」のような本は貸し出してくれるところが少ないかもしれません。

スポーツに関係のありそうな部分だけを図書館でコピーするなどして、スポーツ産業やマーケティングの勉強に役立ててください。

スポーツに特化した「スポーツ白書」!

スポーツ白書」は「公益財団法人 笹川スポーツ財団」がスポーツ政策やスポーツ全般の動向などを総合的に網羅し、創刊している書籍です。

自ら「スポーツ界における唯一の白書」と宣言しているように、日本国内のみならず海外のスポーツ政策トップスポーツからアマチュアスポーツまで幅広く扱っているのが特徴です。

スポーツ白書は以下のような本です。レジャー白書と違い、毎年刊行されているわけではなく、3年置きくらいに出版されているようです。こちらもレジャー白書と同様にやや高価で、一般的な図書館などにもあまり置いていないかもしれませんが、スポーツに関する内容に特化していますので非常に読みごたえがあると思います。スポーツビジネス関連の研究などの際には、必ずご覧になった方がよいです。

スポーツ白書」に書いてある内容としては、

スポーツの政策や法律

✔ スポーツの財源

✔ スポーツ施設の活用状況

✔ トップスポーツの現状

「スポーツ白書」に書いてあるスポーツのアレコレ

などなど、スポーツにまつわる様々なことが書いてあります。

毎年出版されないのが残念ですが、これ1冊を読めば、日本全体の「スポーツ」の動向をある程度理解することができる内容になっています。

「スポーツビジネス」を学ぶときには、いきなり「Jリーグとプロ野球の違い」とか、「スポーツに対するSNSの活用」といった細かい話ではなく、こうした本を読んで「日本全体のスポーツってどうなっているの?」というのをまず理解したほうがよいです。

全体像」をきちんと捉えて物事を考えなければ、細かいことをいくらやっても、問題の本質の発見や課題の解決はできないからです。

ちなみに、公益財団法人 笹川スポーツ財団では、「スポーツ白書」以外にもスポーツにまつわる様々な調査結果をまとめた資料を創刊しています。

スポーツライフ・データ」では、国民を年齢別に、成人(20歳以上)、青少年(10~19歳)、子ども(4~9歳)の3つに分類して、それぞれの年代が普段スポーツにどのように関わっているかなどを調査しています。

スポーツビジネスを行う際に、どのような人達を対象にビジネスをしていくかということを考える上では、非常に参考になる書籍です。

スポーツビジネスの「市場調査」には「スポーツ産業白書」が強い味方!

スポーツ産業白書」は株式会社 矢野経済研究所が国内の「スポーツ用品市場」に特化した調査・分析を行い毎年創刊している報告書です。

スポーツ用品メーカー卸売業小売業などの450社のデータを収集しているので、それぞれの競技ごとの市場が詳しく記載されています。「スポーツ産業白書」は、特にアマチュアスポーツの市場が現在どの程度なのかを知るのに役に立ちます。

野球で言えば、プロ野球」に関連する市場よりも、「軟式野球」に関連する市場のほうが圧倒的に大きいのですが、それはこうした「スポーツ産業白書」のようなデータを当たらない限りは、なかなか実感することができません。

また、スポーツ用品の売上を見れば、そのスポーツの人気が上がっているのか、下がっているのかがすぐに分かります。

2020年版の「スポーツ産業白書」の「第1章」はこんな感じの項目になっています。

1.スポーツ用品国内出荷市場の現状と今後
  (1)スポーツ用品国内出荷市場の現状
    ・スポーツ用品国内出荷市場規模推移
  (2)スポーツ用品国内出荷市場の今後

2.企業別スポーツ用品出荷額推移
  (1)スポーツ用品メーカー(スポーツ用品出荷額10億円以上)

3.スポーツ用品小売市場の現状と今後
  (1)スポーツ用品小売市場の現状
  (2)業態別のスポーツ用品小売市場動向
  (3)スポーツ用品小売市場の今後
    ・スポーツ用品国内小売市場規模推移

「スポーツ産業白書」の第1章のもくじ

これを見るだけでも、「スポーツ産業白書」が「スポーツ用品市場」に特化した文献であることがよく分かると思います。

また、以下にあるような「スポーツ用品関連企業」である、各企業の「事業内容」や「財務分析」なども詳細に記載されています。

◆主要製造業(31社)
  アシックスジャパン
  アディダスジャパン
  アメア スポーツ ジャパン
  エイ アンド エフ
  エスエスケイ
  エバニュー
  カスタムプロデュース
  カンタベリー オブ ニュージーランド ジャパン
  キャラバン
  グローブライド
  ゴールドウイン
  住友ゴム工業
  ゼット
  ティムコ
  デサントジャパン
  ドーム
  ナイキジャパングループ
  ナガセケンコー
  ニッキー
  ニューバランスジャパン
  プーマ ジャパン
  フェニックス
  ブリヂストンスポーツ
  HEAD Japan
  ミカサ
  ミズノ
  ミヤコ・スポーツ
  モルテン
  山本光学
  ヨネックス
  ワコール

主要卸売業(4社)
  イモト
  エスエスケイ
  ゼット
  ヒロウン

主要小売業(5社)
  アルペン
  加茂商事
  タカミヤ
  ヒマラヤ
  メガスポーツ

「スポーツ産業白書2020」で扱っているスポーツ関連企業

このリストを見ると分かるように、スポーツ用品に関するビジネスや、スポーツ用品メーカーや小売店に就職したい方にとっても、かなり役に立つ文献です。

スポーツ産業白書」もスポーツビジネスの勉強をする学生や、スポーツ関連のビジネスに携わっている方にもぜひ一度はご覧になって頂きたい資料なのですが、最も安い「書籍版」でも16万円と非常に高価であり、個人が簡単に買えるものではありません。

Amazonや楽天といったネット通販でも購入することができませんので、株式会社 矢野経済研究所ウェブサイトから注文するしかありません

もし所属している大学などに置いてないようであれば、図書館に購入をお願いするなどして入手することをおすすめします。

私は大学院生時代に、大学院の図書館に「スポーツ産業白書」が置いてなかったので、図書館の職員の方に頼んで購入していただきました。結果としては「論文」の執筆にとても役に立ったので、思い切ってお願いしてよかったと思っています

まとめ ~白書を読めばあなたもスポーツビジネス通になれる!~

今回は、\スポーツの「産業」や「市場規模」を調べるコツ!/ というテーマで、「スポーツ産業」の現状や詳細な「データ」を知りたいときに役立つ文献を3つご紹介してきました。

こうした「白書」が、日本のスポーツビジネス、スポーツ産業の全体像を知る上ではとても大きな役に立つのです。

特に、「レジャー白書」「スポーツ白書」については必ず見て頂きたい資料です。

この3つ以外にも、スポーツに関連する年鑑、白書等は様々な団体からリリースされていますので、また別のコラムでご紹介できればと思います。

これらの資料は、図や表がたくさん使われており、説明文もやさしい文章で書かれています。スポーツビジネスやスポーツマネジメントといった分野の知識が全くなくても読むことができます。

卒論や大学院での研究などでも非常に役立つ資料です

ぜひ、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか!?


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