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スポーツメーカー社員が語る「スポーツ用品の儲け」のカラクリ

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たく

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学生時代は野球に明け暮れ、社会人では新卒でスポーツ小売業界に就職し2年半「スポーツショップの店員」として働き、転職後は「スポーツメーカー」の営業マンとして働くスポーツ大好き人間です。

みなさんも、今までの人生で1度はスポーツ用品を買った経験があるかと思います。少し思い出してみてください。

スポーツショップに行って新しいスポーツシューズを購入。値段は1万円でした。

小学生の頃であれば、「新しいシューズで次の試合も頑張ろう!」と思うのが自然だと思いますが、この記事を読んでくださっている方の大半は、

「このシューズ、作るのにいくらかかるのだろう?

「どこで作られているのだろう?

「自分が実際にシューズを履いてプレーするまでにどれくらいの人が関わっているのだろう?」

そんな疑問を抱いている人も多いと思います。

今回は、「スポーツ用品業界の儲けの仕組み」について商品が実際に販売されるまでの流れに沿って「4つのポイント」で解説したいと思います。

この記事で学べること

✔ スポーツ用品の製造~販売までの流れが分かる

✔ スポーツ用品に関わる業種が分かる

✔ スポーツ用品に関連するそれぞれの企業の役割が分かる


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スポーツ用品が売れるまでの流れをざっと理解しよう

まずは、大まかな流れを理解して頂きたいと思います。

商品の生産からお客様の手元に届くまでの順序は、

1、工場(商品の生産)

2、メーカー(商品の価格決め~取引先への販売)

3、卸業者(メーカーからの商品仕入れ~取引先、お客様への販売)

4、スポーツショップ(メーカー、卸業者からの商品仕入れ~お客様への販売)

5、お客様(購入)

スポーツ用品の「生産から購入」までの流れ

という流れになります。

この後にご説明する、「メーカー希望小売価格」から、それぞれ取り引き先ごとの販売価格を載せた表がこちらになります。 ※取引価格はあくまでも目安です。

この例で言えば、まずスポーツ用品を生産する「工場」は、2,500円で「メーカー」に対してシューズを販売します。

メーカー」は、2,500円で仕入れたシューズを5,000円で「卸売り業者」へ売ります。

そうして最終的にシューズを購入する消費者には、10,000円という値段で売られていくわけです。

ざっくりとですが、スポーツ用品の「儲け」の仕組みをご理解頂けたでしょうか?

以下では、「工場」「メーカー」「卸売り業者」「ショップ(小売)」の役割などを解説していきたいと思います。

「工場」はスポーツ用品生産の担い手

スポーツ用品の良し悪しを決めるのは、商品に使用する素材・製造方法になります。

スポーツ用品製造のほとんどは工場での大量生産です。

また、現在の日本で販売されている商品のほとんどは中国・東南アジア諸国の工場で作られたものです。

その理由は日本で生産するよりも効率よく、安く、大量生産できるからです。

ただ、全ての商品を国外で生産しているというわけではありません。

日本最大手スポーツメーカーの1つ、「ミズノ」の野球部門では、プロ野球選手が使用する最上級のグラブをはじめ一部のグラブを日本の職人の手で製造しています。

日本製の方がもちろん、コストはかかりますし、1つ1つが「お手製」になるので生産個数も限られます。

ではなぜ日本で製造・販売するのでしょうか。

理由はメーカーの「価値」を高めるためです。
※この部分については別の記事で解説していきます。

さて、工場には主に2種類の工場が存在します。

1、メーカーの自社工場

2、自社以外の工場

スポーツ用品を製造する工場の種類

自社工場」はその名の通り、スポーツ用品を製造する「スポーツ用品メーカー」が、自分の会社で自分の工場を持つ、というです。

日本では「アシックス」や「ミズノ」といった誰もが知っているスポーツメーカーが自社で工場を所有しています。

メリットとしては、

1、納期の融通がききやすい。

2、他社へ製品情報が漏れない。

ということが挙げられます。

デメリットとしては、

工場の維持管理費が膨大にかかる

ということになります。

なので、ご紹介したような資金力のある有名スポーツメーカーでなければ、工場を所有することができません。

工場」での商品生産の過程で、おおよそコストは販売価格の25%前後になります。※25%という数字は商品によってかなり前後しますのでご了承下さい。

つまり、1万円で売っているシューズであれば「2500円程度」が元々の価値、ということになります。

「メーカー」が「商品の値段」を決めている

メーカーの仕事は工場で生産した商品を取引先に販売することです。

取引先というのは主に以下のような企業です。

・卸業者(問屋)

・スポーツショップ

・学校(部活動)

そのまえに、まずは「市場での販売価格を決めるという」作業が発生します。

先ほど、メーカーは1万円で販売されるシューズであれば、2500円程度で仕入れている、とお伝えしましたが、メーカーは販売価格を自由に決めることができます。

極端な話ですが、2500円で工場から仕入れた商品を、メーカー側の判断で「10万円で売れる」と判断すれば10万円で販売しても良いのです。

大体の目安としては、メーカーが取引先に販売する価格するとして、販売価格の50%~60%ぐらいが平均的な価格になります。

例:1万円のシューズであれば約5,000~6,000円前後ということになります。

「卸業者」がスポーツ用品を「流通」させる

「卸売り」という仕事は、みなさんの中であまりイメージの湧かない仕事かもしれませんが、スポーツ用品産業の中では重要な役割を担っています。

「スポーツメーカー」から商品を購入した「卸業者」は、

・スポーツショップ(小売店)

・学校(部活動)

などに商品を販売します。

卸業者の特徴は、今回のテーマで登場するそれぞれの役割の中で、商品1点あたりの儲け額が最も少ない、という事です。

おおよそ50%~60%でスポーツメーカーから購入した商品を、60%~70%で販売します。

1点あたりの儲け額が一番少ない理由は、

その分、取り扱う商品が多岐に渡り利益を出しているからです。

スポーツ用品の例として、皆さんが想像するのはスポーツショップで販売している、ランニングシューズやサッカーボールという方が多いでしょうか。

もちろん、スポーツショップで売っているシューズやボールもスポーツ用品です。

ですが、スポーツショップで販売しているスポーツ用品は、ほんの一部にしか過ぎません。

1つの大きな柱として「学校で使用する体育用品」が挙げられます。

皆さんも学校で体育の授業を受けてきたので分かると思いますが、1年間の授業を通して、様々な競技をすると思います。

そこで必要となるのが様々な用具や備品です。

「バスケットボール」という競技だけでも、ボール、シューズが個人として必要となります。

さらビブス、ラインテープやコーン、そして忘れてはいけないのが、バスケットゴールです。
※ちなみに体育館に設置されているバスケットゴールは100万円以上します。

100万円だと仮定すると、販売価格(100万円)の50%(50万円)でメーカーから買います

それを学校に対して、70%(70万円)で販売すると20万円の利益が出ます。

このように多岐に渡る取引先に商品を卸すことで、1点あたりの儲け額が少ない部分をカバーしております。

(むしろ、卸業者の儲け額が1番大きいと、スポーツ用品産業の構造自体が大きく変化してしまいます)

消費者との接点を一番持っているのが「スポーツショップ」

最後に、実際にお客様にスポーツ用品を販売する「スポーツショップ(小売店)」の儲けの仕組みを説明します。

スポーツショップはお客様に商品を販売することが役割となり、その経路は主に2種類あります。

1. 店頭に来店したお客様に商品を販売する。

2. 学校や部活動の生徒やその部活で使用する備品を販売する

スポーツショップが売上を出す方法

2.に関しては先ほどの「卸業者」の部分で説明したので、「1.店頭に来店したお客様に商品を販売する」という部分を説明したいと思います。

スポーツショップにスポーツメーカーや卸業者から販売される価格は、店頭販売価格の60%前後が一般的です。

※例:1万円のシューズであれば6,000円前後になります。

今までの説明で分かる通り、スポーツショップが「最も儲け額・率が大きい業種」になります。

その理由は「店頭在庫リスク」が最も大きい職種だからです。

もちろん、スポーツショップ以外にご紹介した

・スポーツメーカー

・卸業者

にも工場での在庫リスクはあります。

ですが、商品の売れ行きによってある程度コントロールすることができますし、最悪の場合、廃棄することも可能です。

ですが、スポーツショップの場合はそういう訳にはいきませんので、「何年前??」といった商品がたまに店頭に並ぶことがあります。

昔の商品を販売する策の1つとして「売価変更」があります。

いわゆる「値引き販売」です。

この値引き販売にも大きく2つの種類がありますのでご紹介します。

① 自店割引

② メーカー割引

スポーツショップの割引の種類

まず「自店割引」とは、「この商品は定価では売れない」と何らかの理由で判断した際、「スポーツショップ自らが商品を割引販売すること」を意味します。

割引をする際の一般的な考え方の一例をご紹介します。

例:1万円のシューズを6,000円で仕入れて販売し、4,000円の利益を出す予定だったが、1年経過しても売れずに次の新しい商品が入ってくる。

昨年のモデルと価格が一緒では、売れる可能性がさらに少なくなるので割引をして販売する。

仮に1万円のシューズを30%OFF(7,000円)で販売したと仮定します。

すると利益は1,000円なので、流通の中で1番儲け額が少なくなってしまいます。

スポーツショップとしては、こうならないように日々、試行錯誤して商品を販売し売れる数量分だけ発注することが大きな仕事の1つになります。

次に、「メーカー割引」についてです。

メーカー割引とは、スポーツショップに対して通常60%~70%で販売している商品を、30%~40%で販売するという割引の仕組みです。

主にメーカー側に滞留している旧品が対象になります。

例:1万円のシューズを通常60%(6,000円)で仕入れるところ30%(3,000円)で仕入れ、店頭30%OFF(7,000円)で販売し、4,000円の利益を出した。

こちらがメーカー割引の主な仕組みです。

スポーツショップ側はもちろん、メーカー割引で購入した商品を割引せず販売してもよいので、定価で販売できればその分利益率・額が大きくなります。

こうして、最終的にお客様のもとへ商品が届く。

というのが一連の仕組みとなっています。

おわりに ~様々な人の努力が1つのスポーツ用品に~

私は新卒でスポーツショップに就職し、その後はスポーツメーカーの会社に転職して働いています。

スポーツ用品の流通」を説明する上で、最低でも業界の中の複数のポジションの業務を行った事がないとなかなか全体像を説明するのは難しく、仮に説明できたとしても知見がどうしても偏ってしまいがちです。

その点では、今回の記事は、これからスポーツ用品業界を目指す方にとっても、スポーツ用品に興味がある方にとっても、お役にたてる情報になったのではないかと思います。

これだけ多くの業種や企業がスポーツ用品ビジネスに関わっているということは、それだけ多くの人が関わっているということです。

スポーツ用品の仕事に関わりたい方は、ぜひ誰もが知っている有名企業だけではなく、様々な企業やビジネスに関心を持ってみてください!


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